
今回のテーマは「皇室の財産」についてだよ。
えっ、皇室の財産なんて、ふつうに生活してたら関係ないって?
いやいや、そんなことはない!
もし昔みたいに皇室が好き勝手にお金を使えたら、どうなると思う?
そういったことも含めて、天使くんと悪魔くんが話してくれているから、是非最後まで読んでいってね!
第8条【財産授受の制限】
皇室に財産を譲り渡し、又は皇室が、財産を譲り受け、若しくは賜与することは、国会の議決に基かなければならない。
※賜与(しよ)……身分の高い者が目下の者に金品等を与えること

悪魔くん、今日は日本国憲法第8条について話そう!
まずはさ、意訳してみてよ

皇室が財産をもらったり、あげたりするには、国会の許可が必要!

うんうん、いいね!

え? なんでそんなめんどくさいルールがあるんだ?
皇族なんだから、自由にお金や土地をやりとりできてもいいんじゃないのか?

それがねぇ、ちゃんと理由があるんだよ

もしかして、これもまた、明治憲法時代の反省から来ているってやつなのか?

そのとおり!

昔の日本ではね、皇室が膨大な財産を持っていたんだ。
土地やお金をどんどん増やして、国の力の象徴として使われていた。
でも、それが国民の利益になっていたかというと、そうとは限らなかったんだよ

ってことは、つまり……
天皇が財産を好き勝手に使っていたってことか?

そういうこと。
たとえば、戦争で得たお金が皇室の財産になったり、国有地が皇室のものになったりしていたんだ。
「天皇には圧倒的な力がある」と見せる意味もあったんだよね。
そして、国の権力とも結びついてしまったんだよ

…それで?

戦後、日本は二度と同じ間違いを繰り返さないために、憲法第88条で『皇室の財産は国のもの』と決めたんだ。
そして、この第8条で『皇室が財産を譲ったりもらったりするときは、国会の許可が必要』ってルールを作ったんだ

ちょっと待て。
じゃあ皇族は何も買えないのか?
例えば、コンビニでジュースを買うときも国会の許可がいるのか?

大丈夫、さすがにそんなことはないよ〜
そこは『皇室経済法』という法律があってね、日常的な買い物は自由にできるんだよ。だから安心して

よかった、日常生活は、ちょっとは大丈夫なんだな
もし改憲したら、皇室の財産管理はどう変わる?

でもさ、最近、憲法を変えようって話があるだろ?
この第8条も変えようとしているんじゃなかったか?

そうなんだよ。
自民党の改憲草案では、
・『法律で定める場合を除き』という文章を追加
・『国会の議決』を『国会の承認』に変える
って感じになっているんだよ

ほう?
それって何が問題なんだ?

簡単に言うと、皇室が財産を自由に扱える範囲が広がるかもしれないんだ

別にいいじゃないか。皇室だって自由にやりたいだろ?

確かに皇室にも自由は必要だけど、この変更は危険な面もあるんだよ。
まず『法律で定める場合を除き』っていれると、法律を変えるだけで皇室の財産管理ルールが大きく変わる可能性がある。
憲法を変えるよりも法律を変えるのは簡単だからね…

そして、そうなったら、皇室が「財閥」化して、特定の団体との強いつながりを持ったりすることもできるようになる可能性が生まれちゃうんだよ

それは、なんか、昔の日本みたいになるってことか…

なぁなぁ、国会の「議決」を「承認」に変えるってのは、何がやばいんだ?

まずね、「議決」ってのは、「あくまでも主導権は国会にあるんだぞ!」ってことなんだ。
でも『承認』になると、皇室がまず決めたことを国会が後からチェックするだけになっても問題ないって感じになるんだ

つまり、皇室が主導権を握ることもできるようになるってことだよ

ああ…
ってことは、改憲したら、本当に皇室が自由になりかねないのか。どこまでも。明治憲法時代にように

そういうこと

さっきもちょっと言ったけど、改憲したら、昔みたいに権力と結びつくことが簡単になってしまうだろうね。
それに、特定の企業や団体と深く関わることで、国全体の公平性が損なわれるかもしれないんだ

ふむ……確かに、皇室が巨大な財産を持つと、そこに群がるやつらが出てくるだろうな。
皇室の中にも権力を持ちたがる人が出てきたら、簡単になってしまうよな

そういうこと!
だから、憲法第8条のルールも、ある意味国民を守るために、日本を守るためにも、とても重要なんだよ。
皇室の財産を適正に管理し続けるために、ね

ちょっと前まで「皇室から、財産の自由まで奪うなんてひどい!」って思ってたけど……昔のことを考えると、やっぱりこの条文も必要だな!
まとめ
「皇室が財産をやりとりするときにも国会の許可がいる」
この条文まで必要なの?って思われた方も、なぜ必要なのかわかっていただけたでしょうか。
昔の歴史を振り返ると…
皇室の財産があまりにも大きくなりすぎたことで、権力と結びついてしまい、
その結果、国民のことを考えない政治が行われてしまいました。
つまりその当時は、
国民の生活よりも、自分たち(皇室、権力者)の生活が豊かになる方が大事だったのです。
だからこそ、今の憲法では「皇室の財産は国のもの」と決められ、
その使い方にも制限が設けられました。
これもまた「皇室と政治を切り離す」ためのものなのです。

「皇室の財産なんて自分には関係ない」って思うかもしれないけど、実はこういうルールが、国の仕組みを、そして僕たち国民をちゃんと守ってくれることにもなるんだ。
憲法って難しいイメージがあるけど、こうして見てみると、意外と「なるほど!」って思うことも多いはず。これを機に、ほかの条文も一緒に見ていこう!
