
たとえばクラスで、会社でルールを決めるとき、どうやって決める?
「多数決でいいじゃん」ってなることも多いと思う。
でも、中には「それだと少数派の意見が無視される」とか、「もう少し話し合ってから決めようよ」なんて声もあったりして、なかなか決まらないこともあるよね。
実は、国のルール(=法律)を決めるときも、けっこう似たようなことが起きているんだ。
日本では、国会という場所で、衆議院と参議院という2つのグループでそれぞれ話し合って法律を決めているんだけども…
実際、どうやって決まるの?とか、
もし意見が合わなかったら?とか、
そんなときのために決められているのが、この第59条なんだ。
これについて、天使くんと悪魔くんが話してくれているから、是非最後まで読んでいってね!
第59条【法律の成立】
法律案は、この憲法に特別の定のある場合を除いては、両議院で可決したとき法律となる。
2
衆議院で可決し、参議院でこれと異なつた議決をした法律案は、衆議院で出席議員の三分の二以上の多数で再び可決したときは、法律となる。
3
前項の規定は、法律の定めるところにより、衆議院が、両議院の協議会を開くことを求めることを妨げない。
4
参議院が、衆議院の可決した法律案を受け取つた後、国会休会中の期間を除いて六十日以内に、議決しないときは、衆議院は、参議院がその法律案を否決したものとみなすことができる。



悪魔くん、今日は日本国憲法第59条について話そう!
まずはさ、意訳してみてよ



法律を決めるには、衆議院と参議院の両方でOKが出りゃ成立ってワケだ。
でも、もし参議院が反対してきても、衆議院が2/3以上の賛成でもう一回通せば、それで成立。
ちなみに参議院が何も決めずに60日たっちまったら、それは「反対した」とみなす。
要するに、最後は衆議院が決めるってことか。



相変わらずぶっきらぼうだけど、だいたい合ってるよ。
でもね、「衆議院が最後に決める」のにはちゃんと理由があるんだ。



ふん。どうせ「多数決は正義!」ってやつだろ?



それもあるけど、衆議院って、任期が長くても4年だし、解散すればもっと短くなる。ということで有権者の意思がより強く反映される、と考えられているんだ。
だから、衆議院には「国民の声を素早く反映する責任」がある、ってことさ。



つまりアレだろ?
参議院が「それはあかん、反対」って言っても、衆議院が「もう一回!」って押し通せばいいって話だよな。
なーんか乱暴じゃね?



でもね、2回目の衆議院の決議の時は、出席した議員の2/3の賛成がないといけないんだ。1回目に比べてハードルはあがっているんだよ。
参議院が反対したってことはそれなりの意味があるってことだから。



ちなみに…参議院が反対したら、衆議院で審議し直す前に、「協議会」って会議を開くことができるんだ。



協議会?



うん。
衆議院と参議院両方から10人ずつ集まって話し合いをするんだ。



意見交換会みたいなもんか?



そう。
そこで「なんで反対なの?」「どうしたら賛成してくれる?」って意見を出し合うの。
で、その協議会で2/3以上の賛成がなかったら、廃案になるんだ。
衆議院の2回目はないのさ。



ちなみに、協議会で一応「賛成」になったら、
衆議院で2回目の話し合いに入るよ。
協議会で賛成イコール成立!ってわけではないってこともポイントだね!



ふうん。一応は参議院の意見を聞こうって感じにみえるけどよ。
でもその協議会っての、衆議院が「開こう」って言わなきゃ開かれないんだろ。



まぁ、ね…
でもこういう制度もあるってことは、
衆議院に対して「数の力で強行突破するなよ」ってブレーキか蹴るためだと思うんだよね。



理屈はわかったよ。
でも結局「衆議院の優越」ってことには変わりないんだろ。



そうだね。
でもそれは「強い者が勝つ」という意味じゃないからね。
責任をしっかりもってやりなさいよってことだから。



法律等のようなルールを決めるってのは、国民の生活に直結しまくるから。
だからそれだけ慎重に、だけど素早くやらなきゃいけないからね。



丁寧な議論をするための仕組みとも言えるよな。



ゴリ押しだけかと思っていたぜ。



…本来は、そうじゃない、ってことだよ…本来は…(涙)



…
ま、まぁ…
まとめ
「法律ってどうやって決まるの?」
今回の憲法第59条は、まさにその「決まり方」について書かれている条文です。
衆議院と参議院の両方で話し合い、
もし意見が分かれたらどうするか、どうやって最終的な判断を下すのか。
一見ややこしく見えるけれど、
「ちゃんと話し合って、最後は責任を持って決めよう」
という姿勢でいよう、と伝えているのが憲法です。
そしてその最終決定を託されているのが、私たちが選んだ衆議院議員たち。
つまり、私たち一人ひとりの「選ぶ力」が、この国のルールづくりにちゃんとつながっているんです。



そしてその最終決定を託されているのが、僕たちが選んだ衆議院議員たち。
つまり、僕たち一人ひとりの「選ぶ力」が、この国のルールづくりにちゃんとつながっているんだよ。

