【憲法第44条の解説】国会議員の資格について

こちらは日本国憲法第44条の解説記事です。

前編・後編の2部構成としています。
基本的には前編だけでも、その条文の伝えたいこと、
自民党提案の改正草案の中身(問題点)がわかるようにしています。
まずは前編でも是非読んでいただけたら嬉しいです。

更に深堀した内容は後編に書いていますので、
興味のある方は最後まで是非。

目次

前編:日本国憲法第44条【議員及び選挙人の資格】

意訳

衆議院および参議院の議員になるための条件、そして、議員を選ぶための選挙に参加できる人たちの条件については、法律にて定める。ただし、徹底した平等原則をこの憲法にて言い渡しておく。

原文

両議院の議員及びその選挙人の資格は、法律でこれを定める。但し、人種、信条、性別、社会的身分、門地、教育、財産又は収入によつて差別してはならない。

※門地(もんち)…家柄、出自のこと。

この第44条が伝えたいポイント

【議員になれる資格】
・衆議院議員…満25歳以上
・参議院議員…満30歳以上

【投票できる資格】
・満18歳以上

どちらにしても参加条件には「徹底した平等」の元で行うよう言われている

自民党による改正草案について

何をどう変えようとしている?

差別禁止条項の中に「障害の有無」という文言も追記された。

差別してはならないという文章の「但し」を「この場合においては」に変更。

問題点は?

「障害の有無」も追記したのはいいこと。
しかし、「この場合においては」という文言に変えたことに、不穏なものを感じる。
「選挙に関しては平等だけど、そうじゃないケースもあることを憲法で認める」という解釈もできてしまうので、危うい文章になっている。

前編はここまでです。後編では更に詳しく解説していますので、興味のある方はよかったら是非!ちなみに、改正草案の原文も後編の方で記載しています。
この第44条と繋がりのある条文記事も是非!記事下にあります➡繋がりのある条文を見る

後編:日本国憲法第44条を更に深堀してみよう

要点①:「公職選挙法」にて議員や選挙人の資格が定められている

議員になる人や選挙に参加する人の資格については、
時代の流れに応じて変更できるよう「法律」にて定められています。
ちなみに、これらに該当する法律は「公職選挙法」です。

では、公職選挙法より、該当箇所を見ていきます。
(「衆議院・参議院」に該当する箇所のみを抜粋していきます。)

公職選挙法第10条:被選挙権(議員になるための条件)

日本国民であり、かつ、

  • 衆議院議員については年齢満25歳以上の者
  • 参議院議員については年齢満30歳以上の者

公職選挙法第9条:選挙権(選挙に参加できる人の条件)

  • 日本国民で年齢満十八年以上の者は、衆議院議員及び参議院議員の選挙権を有する。

※2016年6月19日以降の選挙から18歳以上となった。それまでは20歳以上。

要点②: 実は昔は差別事項がたくさんあった

どうしてわざわざ差別してはならない事項をたくさん挙げていったのでしょうか。
それは、かつてはそういった差別事項を認めていたからです。

  • 女性は議員にもなれなければ、選挙権もない
  • とある宗教の信者は選挙権がない
  • 中卒だから議員にはなれない
  • 財産がないから参議院の議員にはなれない
  • 納税額が少ないから選挙権がない

等々のように。

そういった差別事項を排除し、国民であれば誰もが資格があると決めたのです。

要点③: 公職選挙法に記載されている「日本国民」とは?

被選挙権・選挙権共に「日本国民」と記載されています。

この日本国民というのは「日本の国籍を持つ者」という言葉に置き換えられます。
ですので生まれが外国籍だとしても、帰化して日本国籍を有すれば選挙に参加できます。

逆に言えば、どんなに長く日本に住んでいようとも帰化していない限りは参政権を持つことができません。

ですが、日本国籍は持っていなくても日本にいる限り納税義務は発生しているんですよね。
そのこともあり、外国籍の方への参政権を求める声も出ているのですが……。

ちなみに海外では、例えば以下のような一定の条件のもと参政権を認めていたりしています。

  • 国レベルに関する参政権はNGだが、地方自治体によってはOK
  • 永住権を取得している
  • 〇年以上居住している

日本もそろそろこの辺りも本気で検討した方がいいかもしれませんね。

要点④: その他、被選挙権を失う条件の例(消極的要件)

上記の他、被選挙権を失う条件が公職選挙法や政治資金規正法、電磁記録投票法により定められています。
こちらは消極的要件と言われています。

【被選挙権を失う条件の一例】

  • 禁錮以上の刑に処せられ、その執行が終わっていない
  • 公職にある間に犯した収賄罪により刑に処せられ、実刑を終えてからまだ10年以内
    または刑の執行猶予中の者
  • 選挙に関する犯罪で禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行猶予中
  • 公職選挙法等に定める選挙に関する犯罪により、選挙権、被選挙権が停止されている
  • 政治資金規正法に定める犯罪により選挙権、 被選挙権が停止されている

分かりやすく言えば、犯罪者はダメですよってことです。

改正草案原文:第44条

※赤文字が変更箇所です

(前略)但し、この場合においては、人種、信条、性別、障害の有無社会的身分、(後略)

自民党による言い分

今回の草案では、14 条の法の下の平等の規定に合わせて、差別の禁止項目に、「障害の有無」を加えました。

(日本国憲法改正草案Q&A増補版より引用)

改正草案の問題点:「この場合においては」とは?

自民党はなぜ「但し」を「この場合においては」と書き換えたのかについては説明していません。

ですので、ここでは「この場合においては」の通常の使い方、
そしてご飯論法を得意とする自民党のやり方と合わせて推察してみます。

わざわざ「この場合においては」としたということは、
この衆議院・参議院議員の選挙においては原則平等だが、それ以外では差別事項があっても構わない
とも解釈できてしまいます。
(特に、男女差別・障害差別が対象となるでしょう)

逃げられる言葉を使うことを認めてはいけないと思っています。
ですのでこれもまた問題点として取り上げられます。

後記

女性に参政権が与えられたのは1946年でした。
第二次世界大戦が終わった翌年ですね。(日本国憲法の施行は1947年)

そうそう、原則平等ですが、刑罰を受けている場合は一定期間資格を剥奪されます。

なお、財産または収入によって差別されることもないということは憲法にて定められていますが、
現実問題として、議員に立候補するには潤沢は資金が必要とされています。
この辺りが「二世問題」につながってます。
そして、麻生太郎氏のように、一般国民の生活を理解していない・搾取や売国しか興味がない人しか
立候補できない状態である現実にもつながっています。

この辺りは選挙の仕組みそのものを変えなければいけません。

この第44条とも繋がりの深い条文は以下の通りです。
(リンクの文章は記事のタイトルではなく、関連がわかるような紹介文にしています)
興味のあるところを是非。

最後まで読んでくださってありがとうございました!
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