【憲法第51条の解説】議員の発言や表決に関する免責特権について

こちらは日本国憲法第51条の解説記事です。

前編・後編の2部構成としています。
基本的には前編だけでも、その条文の伝えたいこと、
自民党提案の改正草案の中身(問題点)がわかるようにしています。
まずは前編でも是非読んでいただけたら嬉しいです。

更に深堀した内容は後編に書いていますので、
興味のある方は最後まで是非。

目次

前編:日本国憲法第51条【議員の発言表決の無答責】

意訳

国会議員が議院の中での演説や討論、賛成・反対表明については、法的責任を問われない。

原文

両議院の議員は、議院で行つた演説、討論又は表決について、院外で責任を問はれない。

この第51条が伝えたいポイント

議員は、議院(国会や委員会等)ではどんな演説や討論をしても構いません。
その内容が気に食わないからと、議院の外で咎められるようなことはありません。

それは、少数派を守るために。自由闊達な意見交換のために、です。

自民党による改正草案について

この条文については変更なしです。

前編はここまでです。後編では更に詳しく解説していますので、興味のある方はよかったら是非!ちなみに、改正草案の原文も後編の方で記載しています。
この第51条と繋がりのある条文記事も是非!記事下にあります➡繋がりのある条文を見る

後編:日本国憲法第51条を更に深堀してみよう

要点①:なぜこのような規定ができたのか?

例えば、国会の中である法律に反対したからと、
外でも誹謗中傷されたり、むやみに刑罰を喰らったり。
または賛成派の名誉を傷つけたから謝罪せよ・損害賠償せよとなったら。

国会で議論を深めることができなくなってしまいますよね。

例えば学校や会社での会議等において、
あの案に反対したからお前はむかつくとばかりに虐めにあったり仕事をもらえなくなったりしたらどうでしょう?
何も言えなくなってしまいますよね。

そういった事態を防ぐために作られた規定です。
国会議員はとにかく自由に議論を交わすことができるように。

要点②:「議院で行った」の意味、範囲は?

議院の中で行われたことに対して責任を問われない範囲とはなんでしょうか?
それには狭義・広義の2通りの解釈があります。

  • 議院で行った演説や討論、表決に限定(狭義)
  • 国会議員の職務の執行に付随する行為も含む(広義)

現実的には、広義の方の解釈となっているようです。

ゆえに、議院外の発言……例えばテレビや地元演説内容への責任もあまり問われないのでしょう。

要点③:免責特権について

実はこれ、かなり深いところまで免責されています。
名誉棄損、損害賠償等のような刑事上・民事裁判にかけられそうなことでも、
実際は法的責任に問われることはありません。故意、もしくは過失だとしても、です。

道義的や政治的責任を追及されて、議員を辞職したりすることはあります。
それでも「裁判にかけられて法的責任を問われる」ことはほぼありません。

もし私達一般国民が同じことをすれば、裁判にかけられ、法的責任を問われるような案件でさえ、です。

それぐらい、かなり免責されています。

なぜここまで免責されるのか?

なぜ、そんなことが認められているのか。

それは、要点①で最初に書きましたが、
議院において、発言の自由・表決の自由を保障することがこの規定の本来の目的だからです。

元々は国王のような強力な権力者や多数派からの干渉から、
少数派の発言・表決を守るために設けられたそうですよ。

反対してもいい。少数派でもいい。
その時点のルールに則った発言でなくてもいい。

そんな風に「自由な発言の保障」をしないと、
「その発言当時のルール」によって法的責任に問われて裁かれてしまうかもしれない。
本当はその発言の方が国民のためになることだったとしても。

要点④:だからと言って何でもやりたい放題ではない

いくら免責特権があるからといっても、なんでもかんでも許されるわけではありません。
議院の中とはいえ、誹謗中傷のような発言や暴力。人権を害するような野次。
このようなものは免責特権の対象外です。(本当は……。)

このような場合は、議院内の秩序を乱したとして、院内の懲罰委員会にかけられて処罰されます。

あくまでも「国会は自分の意見を自由に、思い切り言える場である」だけです。
思いきり批判してもいいのです。

後記

この規定が拡大解釈されすぎている昨今。
そもそも、この規定を知らない議員の方が多いのかもしれませんね。

この第51条とも繋がりの深い条文は以下の通りです。
(リンクの文章は記事のタイトルではなく、関連がわかるような紹介文にしています)
興味のあるところを是非。

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