【対話でわかりやすく】憲法第61条:条約の承認はなぜ衆議院が優先されるのか

日本国憲法第61条を対話でわかりやすく。国と国の契約書、誰がOKを出すの?

たとえば、あなたが友達と旅行に行く計画を立てたとする。
「どこ行く?」「誰がホテル予約する?」「お金はどうする?」
――って、いろいろ話し合って、
最終的にみんなが「OK!」ってなったら決定、だよね。

でも、もし誰か一人が勝手に
「もうハワイ予約しちゃった!」
なんて言ったら?

「ちょっと待ってよ、なんで勝手に決めるの?」
ってなりますよね。

実は、国と国の間で結ぶ「条約」も、
そんな感じの“大きな約束”なんだ。

そしてその約束をしてもいいかどうかを
チェックするのが国会の役割。


これについて、天使くんと悪魔くんが話してくれているから、
是非最後まで読んでいってね!

第61条【条約締結の承認】
条約の締結に必要な国会の承認については、前条第二項の規定を準用する。

てんし

悪魔くん、今日は日本国憲法第61条について話そう!
まずはさ、意訳してみてよ

あくま

外国と何か約束(=条約)を結ぶときには、国会のOKがいるって話だ。

で、そのOKの出し方は前の条文(第60条)の2項と同じルールでやるってだけだ。
つまり、またしても“衆議院が偉い”ってことだな。

てんし

うんうん、いいね!

あくま

結局またかよ。条約ってのも、
どうせ「衆議院が優先」ってことなんだろ?
参議院いらねぇじゃん。

てんし

あはは、そんなにバッサリ言わないでよ。
でも確かに、第61条では
「条約を結ぶときにも、予算と同じで衆議院の意見が優先される」
って書かれているね。
第60条のルールをそのまま使う、ってことだから。

あくま

だからさ、その「条約」と「国会」ってのが、
まずよくわかんねぇんだよ。
国のトップが勝手に外国と握手すりゃいいだろ。
国会とか通す必要あるか?

てんし

その考え方、昔の憲法時代に近いね。
明治憲法の時代は、天皇が勝手に条約を結んでいたんだ。

でも今の日本国憲法では、それは認められないよ。

条約っていうのは、
たとえば「アメリカと安全保障の約束を交わす」とか、
「貿易で関税をどうするか決める」みたいな、
国と国との大事な取り決めだから、ね。

あくま

ふーん。
でもどうせ内閣(政府)が話し合って決めるんだろ?
だったら、もうそのままハンコ押せばいいじゃん。
国会なんていちいち通さなくてもさ。

てんし

その「ハンコを押す前に、国会がOKを出す」
ってルールが大事なんだよ。
政府が勝手に「この国とこんな約束してきましたー」
ってやったら、国民はついていけないでしょ?

あくま

それはまぁ、確かに……

でも、でもよ、衆議院だけで決まるなら、
国会って言っても、参議院はただの飾りじゃん。

てんし

ちょいちょいちょいちょい。
悪魔くん、ちょっと勘違いしているね。

第61条は「条約を承認するときには、第60条第2項を使います」
ってだけなんだ。

で、第60条第2項っていうのは、
「衆議院で決まった案を参議院が否決した場合、両方の議院で話し合っても意見が合わなければ、衆議院の意見が優先される」

ってルール、ね。

あくま

じゃあやっぱり、
最終的には衆議院の言うことが通るってことだろ。
参議院がんばっても意味ねぇじゃん。

てんし

そんなことはないよ。
ふつうは、両方の議院で話し合って、
できるだけ意見をすり合わせるように努力するのが基本。

それでもどうしてもダメだったときに、
衆議院の判断が優先される、っていうだけ。

それに、参議院があることで、
もう一度冷静に考えたり、別の視点からの意見を確認できるんだ。
だから参議院も大切なんだよ。

あくま

じゃあさ、条約の内容に「ここ変えろ」とか
「もっとこうしろ」って国会で言うことはできんの?

てんし

それはできないんだ。
第73条にあるとおり、条約を実際に作るのは内閣の仕事。

国会はその条約を
「丸ごと承認するか、しないか」
だけを決められるんだよ。

内容をあれこれ直せたら、内閣の役割を侵害しちゃうからね。

あくま

ちぇっ、なんかモヤモヤするな。
俺たちが選んだ国会議員が内容に口出せないってのも変な感じだ。

てんし

そう思うかもしれないけど、
それが「三権分立(さんけんぶんりつ)」っていう考え方なんだ。

内閣、国会、裁判所がそれぞれの仕事をちゃんと分けて、
お互いを監視しながらバランスをとっている。

だから、条約の内容に口出ししない代わりに、
「本当にこの内容で約束して大丈夫か?」
をチェックするのが国会の役目、ってことさ。

あくま

なるほどな。ま、ちょっとは筋が通ってるかもな。
でも衆議院が「内閣の子分」みたいな感じだったら、
結局なんでも通っちゃいそうだけど?

てんし

うん、それはたしかに問題になることもあるよ。
だからこそ、国会議員を選ぶときに、
しっかり考えて投票することが大事なんだ。

内閣も、
「衆議院は俺たちの味方だから好き勝手やっていい」
って考えないようにしなきゃいけない。

あくま

ふぅん……。
なんか、国会の仕組みって思ったより深いな。
まぁ、俺にも少しはわかってきた気がするぞ。

まとめ

今回取り上げた憲法第61条は、
ざっくり言えば「日本が外国と何か約束(=条約)を結ぶときには、
国会のチェックが必要。
で、参議院と意見が割れた場合は、最終的には衆議院の判断が優先されることになっています。

一見すると「また衆議院か〜」と思うかもしれませんが、
これは「国民の声をより反映しやすい場所が最終判断をする」という意味を持っています。
衆議院は任期が短く、解散もあるため、より“今の民意”が反映されやすいという考えからです。

また、国会が「内容に口出しできない」ことに違和感を覚えた方もいたかもしれません。

でもそれは、内閣と国会の役割分担を明確にして、
お互いが勝手をしないようにするための仕組みです。

それぞれの力を分けてバランスをとる。
これが憲法の考える「健全な政治」の形なんですね。

私たちがニュースで聞く「条約」や「外交の合意」も、実はこの憲法のルールの上に成り立っているんだと思うと、ちょっと見方が変わってくるのではないでしょうか。

僕たちがニュースで聞く「条約」や「外交の合意」も、
実はこの憲法のルールの上に成り立っているんだと思うと、
ちょっと見方が変わってくる…かも?!

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