
会社とか学校で、
ちゃんとやってるかチェックする役目の人って、いるよね?
たとえば、店長がアルバイトの仕事ぶりを見たり、
先生が授業のやり方を見直したり。
それって、サボってないかを見張るためだけじゃなくて、
もっと良くするための“調査”だったりする。
実は、国会にもそんな「調査する力」があるんだ。
それが、日本国憲法の第62条に書かれている
「国政調査権」というもの。
これについて、天使くんと悪魔くんが話してくれているから、
是非最後まで読んでいってね!
第62条【議院の国政調査権】
両議院は、各々国政に関する調査を行ひ、これに関して、証人の出頭及び証言並びに記録の提出を要求することができる。



悪魔くん、今日は日本国憲法第62条について話そう!
まずはさ、意訳してみてよ



国会の連中は、政治がちゃんと回ってるかどうか、
勝手に調べてもいいってことだ。
それで、関係者を呼びつけて話を聞いたり、
書類を出せって命令したりできるわけよ。



うん、言い方はちょっと乱暴だけど、だいたい合ってるよ。
これは「国政調査権」っていってね、
国会が法律を作るために、いろんなことを調べる権利のことなんだ。



ふーん、でもそれってそんなに必要か?
政治家なんてどうせ自分の都合のいいことしか調べないだろ。
税金のムダじゃねーのか?



その気持ちもわかるよ。
でもね、本来の目的は
国民の声をちゃんと聞いて、法律に反映させるため
なんだ。
たとえば、
今の法律が本当に役に立ってるのか?
現場の人たちは困ってないか?
そういう事実・現実を確かめることは、
良い政治の出発点なんだよ。



でもさ、政府に聞けばいいだけじゃね?
いちいち人呼び出したり、書類出せってうるさくしなくてもさ。



昔の明治憲法では、まさにそうだったよ。
「政府から聞くしかなかった」んだ。
つまり、都合の悪いことは出さなくてもバレなかったんだ。



そっちのほうが国家としては安定するだろ?
余計な騒ぎにならないしよ。



でもね、「見たいものしか見ない政治」って、
気づいたときには取り返しがつかなくなるんだよ。
たとえば、災害の備えが不十分だったとか、
法律のせいで誰かが困ってたとか。
だからこそ、国会がちゃんと調べる仕組みが必要なんだ。



でも、証人とかさ、
そうやって呼び出されたらイヤじゃん。
拒否できないのか?



「証人喚問」っていうんだけどね、
原則、呼ばれたら断れないし、
ウソをつくと偽証罪っていう罪に問われることもある。
でもね、
「自分が犯罪者として裁かれるおそれがある」時だけは、
黙ってもいいって決まりがあるんだ。



ふーん。黙っていたら余計不利になりそうだけどな。
ま、いいや。



お?
なぁ、「参考人招致」ってのもあるんだな?
こっちはどういう意味だ?



それは、もっと軽いやつ。
呼ばれても断っていいし、ウソついても罰はない。
あくまで「話を聞かせてもらう」って感じだね。



なるほど。
しかしよ、昔の方が国の力が強くて安心だと思ってたけど、
国民のために調べるって考え方も悪くねぇのかもな。



うん、僕もそう思うよ。
この第62条の国政調査権は、
国民の声をきちんと聞くための耳とも言えるかもしれないね。
国のため、じゃなくて「国民のため」にある政治を支える、
とっても大事なしくみなんだ。



ま、ちょっとだけ見直したわ。
でもさ、ちゃんと使われてんのか?その耳。
都合のいいことしか聞いてないんじゃねーの?



……たしかに、使いこなせてないときもあるよね。
でも、それを監視するのもまた国民の役割だと思うんだ。
「知る権利」を大切にするためにも、
まずはこの条文を知ってもらうところから、ね。
まとめ
悪魔くんのように、「そんなの必要?」と思う方もいるかもしれません。
でも、天使くんの説明にもあった通り、
国会が法律をつくるには、今の世の中のことをちゃんと知っていないといけません。
そのためにあるのが、この、第62条の「国政調査権」なんです。
この権利があることで、たとえば大きな事件や不正が起きたときに、
「ちゃんと調べよう」「国民に説明しよう」っていう流れが生まれます。
逆に言えば、この権利がなかったら、
政府のやりたい放題を誰も止められないかもしれない。…ちょっと怖いですよね。
また、法律を作る時、現状の調査もしないで「ただのカン」で作られたら?
ちっとも役に立たないか、国民を逆に苦しめるだけの法律が乱立しかねません。



憲法って、むずかしい言葉ばかりに見えるけど、
その根っこには「国民を守る」っていう強い想いがあるんだ。

