【対話でわかりやすく】憲法第89条:税金を宗教や私学に使ってはいけない理由とは

日本国憲法第89条を対話でわかりやすく。宗教とお金の関係に線を引く条文。

もし、あなたの払った税金が、
ある宗教団体の建物の修理に使われてたら、どう思う?

「え、別に興味ないし…」って感じかもしれないけど、
もうちょっと想像してみて。

自分が信じてもいない宗教に、
知らない間にお金が流れてたら、ちょっとモヤッとしない?

もうちょっと、たとえ話をすると、
たとえばさ、クラスで集めたお金を、
勝手に仲良しグループだけで使っちゃった、みたいな。

「いや、それ俺たち全員の金だろ!」ってなるよね。

それと同じで、「税金」って、
みんなで出し合ったお金だから、
使い道にはちゃんとルールが必要なんだ。

で、この第89条っていうのは、
その「税金の使い道」にストップをかける大事な条文。
特定の宗教とか、国が口出しできない団体に
税金を使っちゃダメ!って、しっかり書いてあるんだ。


これについて、天使くんと悪魔くんが話してくれているから、
是非最後まで読んでいってね!

第89条【公の財産の用途制限】
公金その他の公の財産は、宗教上の組織若しくは団体の使用、便益若しくは維持のため、又は公の支配に属しない慈善、教育若しくは博愛の事業に対し、これを支出し、又はその利用に供してはならない。

てんし

悪魔くん、今日は日本国憲法第89条について話そう!
まずはさ、意訳してみてよ

あくま

国の金(つまり税金とか)は、
宗教団体とか、国の言うことを聞かない慈善活動や学校なんかには、
びた一文使っちゃダメ」ってことだ。

宗教にカネやってもダメ、
国の管理下にない団体にカネ使ってもダメ。
使わせてもダメ。

口出しできねぇところに、勝手に国の財布を開くなって話だな。

てんし

うんうん、いいね!

てんし

これはね、
「政教分離」や「教育の中立性」を守るための条文なんだ。

要は、税金という「みんなのお金」を、
特定の宗教や、国がコントロールできない団体に
流しちゃダメってことなんだ。

あくま

でもよぉ、私立の学校とか、宗教法人が運営してるやつもあるだろ?
ああいうとこに補助金出してんじゃねぇの? 
憲法違反なんじゃねぇの?

てんし

いい視点だね。
たしかに、宗教法人が運営する学校や、
完全に民間の慈善団体に対して「税金を使う」って聞くと、
「憲法違反じゃないの?」って疑問に思うのは自然だよ。

でもね、これにはきちんとした「運用上の解釈」があってさ。

てんし

たとえば「私立の学校」と言っても、
法律や規則に基づいて国や自治体が関与しているんだ。

具体的には、設置基準とか、教育内容の指導とか、会計の報告とかね。
全くの無法地帯ってわけじゃないんだ。


だから「公の支配」に属している=一定の監督がされている、
ってことで、助成金を出すのはOKとされてるんだよ。

あくま

ふーん…つまり、
「ちゃんと国が見張ってるから金を出してもセーフ」
って理屈か。

てんし

そうそう。
でも、この「公の支配」って言葉、少し曖昧だからこそ、
運用に柔軟性もあるし、歯止めにもなってるんだよ。

あくま

なるほど。

てんし

ところが…自民党の改憲草案では、
ここを「国や自治体の監督が及ばない場合」に変えようとしてるんだ。

あくま

ん? 
「支配」から「監督」に変えるだけじゃねぇの?
そんなに違うか?

てんし

これがけっこう大きな違いなんだ。

「公の支配」ってのは、単に上から監視してるだけじゃなくて、
全体として社会的に統制がとれてる状態を意味してる。

てんし

でも「監督が及ぶ・及ばない」って言葉に変えると、
どこまでが監督なのか、誰が判断するのかが曖昧になるんだよ。

その結果、都合よく「ここは監督してるから大丈夫」とか、
「あれはしてないからアウト」っていう解釈ができてしまう。

あくま

ま、そりゃ都合よくやれるなら、政治家にとっちゃ楽だろうな。

でもなんでそんなに曖昧にしたがる?

てんし

実はね、「森友学園」や「加計学園」みたいな問題も背景にあるんだ。

国と仲のいい団体に対して、特別に土地を安く売ったり、
多めに補助金を出したり――そういう便宜が問題になったよね。

そういう団体に「監督が及んでいるからOK」って
言えるようにしたいんじゃないか、って疑いが出てくるわけ。

あくま

……ほう。確かに「国が監督してます」って言い張れば、
どんな団体でも税金使えるようになるかもな。
しかも、宗教団体とかにまで。

てんし

そう。それが一番の問題なんだ。
宗教と政治の関係にゆるみが出てしまえば、
「政教分離」の原則が崩れてしまうだろうね。

てんし

実際、自民党の改憲案には
「社会的儀礼や習俗的行為ならOK」って
但し書きも追加されてる。

これは例えば、
首相や閣僚が靖国神社に参拝しても、お金を出しても、
「これはただの儀礼です」って言えば
何もかもがOKになるように見せかける意図があるんだよ。

あくま

……ってことは、
戦争を肯定するような神社に税金から玉串料を出しても
「セーフ」になるってことか?
そりゃヤベェな。

てんし

うん、世界中に向けて
「日本は戦争を肯定してる」と誤解される危険があるよね。

てんし

しかも、特定の宗教団体が政治家とつながっていて、
その団体に公金が流れるようになったらどうなると思う?

あくま

…政治が宗教に乗っ取られたり……
逆に、宗教が政治を利用したり……

てんし

そう、まさにそこが一番の懸念なんだ。
だからこそ、憲法第89条は
「お金の流れを通じて、国が余計な影響を与えること」
を防いでるんだよ。

てんし

税金は、すべての人のために使われるべきもの。
特定の思想や団体のために使っちゃいけない。
この原則を守るのが、第89条の役割なんだ。

あくま

……なるほどな。
言い換えれば、「カネを使わせねぇ」ってのは
「口も出させねぇ」ってことか。
勝手に干渉してこられるのを防ぐためでもあるわけだな。

てんし

その通り。カネと権力はセットで動くからね。
だからこそ、慎重に線を引いておく必要がある。
第89条は、憲法の中でも
「権力とお金の関係」に歯止めをかける大事な条文なんだよ。

まとめ

一見すると難しそうな条文ですが、
「国がお金を出すことで、
宗教や教育の中身にまで口を出してしまわないようにするための仕組み」
であることが、今回の対話を通じてご理解いただけたでしょうか。

税金は、すべての人のために公平に使われるべきものです。
その使い道に線を引くことで、特定の団体や思想に偏らない政治や社会を守る。
そうした「見えにくいけれど大切なバランス」を保つために、憲法第89条は存在しています。

難しい話に見えても、実はこれも身近な問題なんだよ

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