【対話でわかりやすく】憲法第96条:改正手続きと改憲草案の問題点って?

日本国憲法第96条をわかりやすく。改正

「憲法改正」って聞いても、
なんか人ごとのように感じる人も多いかもしれないね。

「どうせ政治家が勝手に決めてるんでしょ」
「自分には関係ないし…」
って感じで。

または
「変えたほうがいいって政治家が言っているから、
変えたほうがいいんじゃないの?」とか。

でも、たとえば──
もし学校のルールがある日、先生たちだけで勝手に変えて、

「スマホは永久禁止!」
「行事は全て廃止!勉強だけしていなさい!」

]なんて変えられたら、どう思う?

「ちょっと待って、なんで?私たちの意見は?」ってなるよね。

実は、国のルールである「憲法」も、
それと似たようなものなんだ。
政治家だけで、政治家に都合よく変えられないように、
「憲法第96条」っていうストッパーがかかってるんだよ。


これについて、天使くんと悪魔くんが話してくれているから、
是非最後まで読んでいってね!

第96条【憲法改正の発議、国民投票及び公布】
この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。



憲法改正について前項の承認を経たときは、天皇は、国民の名で、この憲法と一体を成すものとして、直ちにこれを公布する。

てんし

悪魔くん、今日は日本国憲法第96条について話そう!
まずはさ、意訳してみてよ

あくま

憲法を変えたかったら、
まず国会の議員の3分の2以上が賛成しなきゃ話にならねぇ。

それがクリアできたら、今度は国民に提案して、
国民投票ってやつで過半数の賛成が必要だってさ。

んで、国民がOK出したら、
天皇が「国民の名のもとに」って形で、
すぐに憲法改正を発表するって流れだ。

てんし

うんうん、いいね!

あくま

ったくよ〜、憲法をちょっと変えるだけなのに、
なんでこんな面倒くさいルールになってんだよ。

国会の議員の3分の2が賛成?さらに国民投票?

そんなの、国家のスピード感に合ってないだろ。
国の未来を背負う政治家たちが決めれば、それで十分じゃねぇか。

てんし

おおぉ…まぁ、そう思うのも無理ないか。
でもね、憲法っていうのは「国で一番強いルール」なんだ。

つまり、「権力を持つ人たち(政府や政治家)」が
勝手に変えられないように、ちゃんとストッパーがかかってるんだよ。

あくま

ふーん、でもよ、3分の2なんてハードル高すぎね?

国会議員なんて選挙で選ばれたんだから、
そいつらの判断にもっと任せていいんじゃねぇの?
それに、最近は自民党やらが改憲したがってるけど、
あれだって国民のためを思ってるんだろ?

てんし

確かに、議員は一応「国民の代表」にはなっているからね。

でもね、96条が大切にしているのは
「国家権力が暴走しないようにすること」
なんだ。

戦前の日本みたいに、国民の自由や人権が無視されて、
国が一方的に暴走した歴史を、繰り返さないための仕組みなんだよ。

あくま

戦前って…あの時代はあの時代で、
国が強くて一体感あったじゃねぇか。
今の日本なんて、なんでも「自由」ばっかで、国がまとまらねぇよ。

てんし

うーん、それはちょっと危ない考え方かもしれないね。

たしかに戦前は「国のために命を捧げる」みたいな気風があったけど、
それは裏を返せば「個人の自由や命より、国家が上」って発想。
そしてそんな国の意向に合わない人は殺しても良かったんだよ。

それにさ、国の意向に合う人々でも、
最後は戦争で「ただのコマ」として使われて死んでいったりしたよね。

てんし

でも、今の憲法は逆でね、
「国は国民のためにあるもの。個人の尊厳が何よりも大事」
って考え方なんだ。

だから、そんな大切な価値観が勝手に変えられないように
簡単には改正できない仕組みにしてあるんだよ。

あくま

うぅ。そりゃ、俺の命を軽んじられたくないけどよ、
でも、今の憲法ってアメリカに押しつけられたんじゃねぇの?

だから、日本らしく!って感じにしようとしてるんだろ?
で、自民党の改憲草案だと、
3分の2を過半数に下げようとしてるらしいけど、
それってそんなに悪いことか?

てんし

たしかに「アメリカの影響下で作られた」って批判は昔からあるよ。
でも実際は、日本主導で決まっている内容がほとんどだよ。
アメリカが指示したのは、
悪あがきをして日帝主義を残そうとしたのを拒否したってことぐらい。

てんし

でさ、悪魔くん。
逆に聞くけど、今の憲法のどこが悪いのかって、具体的に言えるかな?

自由、平等、人権、平和主義。

これらを守るための土台が、今の憲法なんだ。
改憲草案で「過半数だけで改憲できる」ようになったら、
極端な話、与党が一人勝ちしてる状態なら、一気に変えられちゃう。

あくま

……

あくま

で、でもよ、国民投票もあるんだろ?
だったら、ちゃんと国民が選ぶってことでいいじゃねぇか。

てんし

そこがまた問題なんだ。
改憲には「最低投票率」のルールが書かれていないんだよ。

いや、むしろ、
「投票に来てくれた人の半分だけでいい」と明確にしている


つまり、投票に来る人が20%しかいなくても、
その半分(国民のたった10%)が賛成すれば、
改憲が成立しちゃう可能性がある。
それって、本当に「国民の意思」って言えるのかな?

あくま

……あー、そっか、それはちょっとズルくねぇか?
なんか、わざと国民が無関心なうちに、
こっそり変えようとしてるようにも見えるな。

てんし

うん、そう感じる人も多いと思うよ。
だからこそ、改憲そのものよりも、
まず「どうやって憲法を変えるか」のルール(=96条)を緩めるのは、とても慎重に考えなきゃいけない。

てんし

それに、今の憲法に基づく法律においてさえも、
実は最低投票率が定められていないんだ。

それに今はマスコミも「改憲派の広告塔」となってしまって、
マスコミとしての仕事をちゃんとしていないでしょう?
そんな状態で改憲はかなり危ないよね。

あくま

なるほどなぁ……最初は「面倒くせぇ」と思ってたけど、
逆にこの面倒さが国民を守ってるってわけか。

てんし

そうそう。憲法の役目って、
「未来のどんな政府にも、

国民の権利を踏みにじらせない」
ためのものなんだよ。


権力者を縛るためのものなんだからね。(第99条)

あくま

今の憲法をまともに守りもしないやつらが
憲法を変えようとしているってぇのが、
そもそもおかしいか、そういえば。

あくま

よくみたら、改憲の内容ってどれもこれも
国民の権利を奪って、縛って、
戦争できるようにしてやるって感じだもんな。

てんし

うん、気づいてくれた?

あくま

…ふむ。ちょっと見方が変わったかもしれねぇ。
ま、でも俺たち国民がもっとちゃんと憲法のこと知っとくべきだなぁ。

そして改憲はダメだな、やっぱ。

てんし

そのとおり!
僕たち一人ひとりが、憲法を自分のこととして考える。
それが、民主主義の土台だよ。

目次

まとめ

改憲とか護憲(今の憲法を変えないこと)とか言われても一見むずかしそうだし、
「そんなの政治家に任せておけばいい」って思ってしまいがちかもしれません。

でも、この条文があるからこそ、私たち一人ひとりの意見や権利が、ちゃんと守られているんです。

たとえば、会社や学校でルールが変わるとき、
「上の人たちだけで勝手に決めた」って言われて、
モヤっとした経験、ありませんか?


それと同じことが、国のレベルでも起こらないように──
憲法は「国のルールのルール」として、そう簡単には変えられないようにできているんです。

もちろん、憲法は一切変えちゃいけない!ということではありません。
でも「どうやって変えるか」というルールをゆるめてしまうと、
そのあとでどんな改正でも通りやすくなってしまう。


それって、本当に私たち国民にとって安心できることなのか?
いま一度、立ち止まって考えてみる価値はあると思います。

この記事が、そんなきっかけのひとつになれば嬉しいです。

それに、改憲案が何を目指しているのか、
よくよく知らされないまま勝手に変えられたら?

一度変えてしまったら、
僕たちが「意見を主張すること」が難しくなったら、
元に戻すのはものすごく難しいよ。

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