こちらは日本国憲法第1条の解説記事です。
この第1条が伝えたいポイントというのは……
具体的にはどういうことなのか?
そして、自民党が推し進めようとしている改憲草案の中身は?
その問題点とは?そういった解説・考察をしています。
ぜひ最後まで読んでもらえたら嬉しいです!
日本国憲法第1条【天皇の地位と主権在民】
意訳
原文
日本国憲法第1条を更に深堀してみよう
要点①:かつては「天皇は神様」だった
明治憲法(大日本帝国憲法)では「天皇は神聖にして侵すべからず」と書かれていました。
そして、国家の主権は天皇にあることも。
そう、かつては天皇が国家に関するすべての権利を握っていたのです。
天皇というのは本当に強い存在であり、国民は「天皇の家来」でした。
そして大臣や役員たちが「天皇の命令だ」といえば、抗う術はなかなかありませんでした。
それが虎の威を借りる狐だとしても。
ところで、なぜこのようになったのでしょうか?
それは「日本は神様が作った(イザナギとイザナミが有名ですね)」という日本神話から来ています。
そして、天皇はそんな国を作った神様の子孫であると言われ続けてきました。
ゆえに、天皇が国を治めるのが道理であるのだ、となったのです。
明治憲法(大日本帝国憲法)では「天皇は神聖にして侵すべからず」と書かれていました。そして、国家の主権は天皇にあることも。
そう、かつては天皇が国家に関するすべての権利を握っていたのです。
天皇というのは本当に強い存在であり、国民は「天皇の家来」でした。そして大臣や役員たちが「天皇の命令だ」といえば、抗う術はなかなかありませんでした。それが虎の威を借りる狐だとしても。
ところで、なぜこのようになったのでしょうか?
それは「日本は神様が作った(イザナギとイザナミが有名ですね)」という日本神話から来ています。そして、天皇はそんな国を作った神様の子孫であると言われ続けてきました。ゆえに、天皇が国を治めるのが道理であるのだ、となったのです。
要点②:今の天皇の地位は「国民の総意」のもとで成り立っている
日本においてはながらく要点①のような状況でしたが、
第二次世界大戦の後、日本もようやく「民主主義」という考えを採用することになりました。
それに伴い、
国の主権は国民である。天皇は神様ではない、ということを表明することとなりました。
そこで決まったのがこの第1条です。
日本においてはながらく要点①のような状況でしたが、第二次世界大戦の後、日本もようやく「民主主義」という考えを採用することになりました。
それに伴い、国の主権は国民である。天皇は神様ではない、ということを表明することとなりました。
そこで決まったのがこの第1条です。
この第1条の改憲草案はどんな内容?
自民党はこの第1条をどのように改憲しようとしているのでしょうか。
そして、その問題点とは?
簡単にいうと、以下の通りです。
改憲草案の原文を紹介します。そして具体的に考察もしてみました
改憲草案原文:第1条
※赤文字が変更箇所です。
自民党による言い分
元首とは、英語では Head of State であり、国の第一人者を意味します。
明治憲法には、天皇が元首であるとの規定が存在していました。
また、外交儀礼上でも、天皇は元首として扱われています。
(日本国憲法改正草案Q&A増補版より引用)
元首とは、英語では Head of State であり、国の第一人者を意味します。明治憲法には、天皇が元首であるとの規定が存在していました。また、外交儀礼上でも、天皇は元首として扱われています。
(日本国憲法改正草案Q&A増補版より引用)
問題点の前に……「元首」とは?
元首(国家元首)とは?
国際法上、外国に対して国を代表する者のこと。
元首に関する規程を持たない国も存在する。
また、元首がある国でも、全てが「元首=政治の実権を握っている者」というわけではない。
例)イギリス、オランダ、タイ等。国王が元首だが、政治上の実権は握っていない。
元首(国家元首)とは?
国際法上、外国に対して国を代表する者のこと。
元首に関する規程を持たない国も存在する。また、元首がある国でも、全てが「元首=政治の実権を握っている者」というわけではない。
例)イギリス、オランダ、タイ等。国王が元首だが、政治上の実権は握っていない。
「元首」について特別規程していない国もある(少なくない)ということは政府も承知しているはずです。
また、現在の天皇の形(象徴であり、だけど外交儀礼としては日本の代表となる)に
不満を抱いている国民は少ないということもわかっています。
「元首」について特別規程していない国もある(少なくない)ということは政府も承知しているはずです。また、現在の天皇の形(象徴であり、だけど外交儀礼としては日本の代表となる)に不満を抱いている国民は少ないということもわかっています。
改正草案の問題点①:「第一人者」とは
改正理由の冒頭に「元首とは、英語では Head of State であり、国の第一人者を意味します」とあります。
第一人者というのはその分野で最も優れた人という意味ですが、最高権威という意味も持っています。
天皇が日本で最も優れた人であり、最高権威である。
自民党はそのような地位に天皇を位置付けたいという思惑が第一行から出ています。
改正草案の問題点②:明治憲法を持ちだしてきたこと
上記での自民党の言い分にも書いてある通り、
天皇を「元首」とする理由に明治憲法(大日本帝国憲法)を持ちだしてきました。
さて、明治憲法では天皇はどのように扱われていたのでしょうか。
要点①の繰り返しになりますが、再掲します。
上記での自民党の言い分にも書いてある通り、天皇を「元首」とする理由に明治憲法(大日本帝国憲法)を持ちだしてきました。
さて、明治憲法では天皇はどのように扱われていたのでしょうか。要点①の繰り返しになりますが、再掲します。
明治憲法(大日本帝国憲法)では「天皇は神聖にして侵すべからず」と書かれていました。
そして、国家の主権は天皇にあることも。
そう、かつては天皇が国家に関するすべての権利を握っていたのです。
天皇というのは本当に強い存在であり、国民は「天皇の家来」だったのです。
そして大臣や役員たちが「天皇の命令だ」といえば、抗う術はなかなかありませんでした。
明治憲法(大日本帝国憲法)では「天皇は神聖にして侵すべからず」と書かれていました。そして、国家の主権は天皇にあることも。
そう、かつては天皇が国家に関するすべての権利を握っていたのです。
天皇というのは本当に強い存在であり、国民は「天皇の家来」だったのです。そして大臣や役員たちが「天皇の命令だ」といえば、抗う術はなかなかありませんでした。
明らかにもう一度天皇に強い権力を与えたいという思惑をもって、
「元首」という言葉を追加したことが見えてきます。
このような懸念は、憲法学者の木村草太氏も指摘しています。
明らかにもう一度天皇に強い権力を与えたいという思惑をもって、「元首」という言葉を追加したことが見えてきます。
このような懸念は、憲法学者の木村草太氏も指摘しています。
天皇を『元首』と明記すると、条約の締結や外交上の代表が必要なとき
天皇がその任を負うと解釈される可能性が出てくる。
(天皇を元首にする憲法改正を訴える人たちは)
動機としては戦前復古的な天皇の地位を増強する国がいい国だという思いが表れているのだと思う。
天皇を『元首』と明記すると、条約の締結や外交上の代表が必要なとき、天皇がその任を負うと解釈される可能性が出てくる。
(天皇を元首にする憲法改正を訴える人たちは)動機としては戦前復古的な天皇の地位を増強する国がいい国だという思いが表れているのだと思う。
改正草案の問題点③:外交儀礼における「元首」?
改正草案の問題点④:「元首」が持つ意味の強さと憲法違反を生む恐れ
改憲案では現憲法第3条が削除されています。
なおかつ、第7条において「内閣の助言と承認」が「進言」に置き換えられています。
「進言」というのは「目上の者に意見を申し述べること」です。
「承認」という言葉を削除したことにより、最終決定権を天皇が持つという解釈ができるようになっています。
このようなことから、もし「元首」という言葉を憲法上で使ってしまうとどういうことになるでしょうか。
象徴に留まらず「元首」という実質的な地位が天皇に与えられることになります。
そうして、天皇の言動にも「権力」が生まれてくることになります。
その結果として、天皇の発言や行為を無視することができなくなっていくでしょう。
憲法上に書かれてしまえば、天皇の行為を無視することが憲法違反となるからです。
改憲案では現憲法第3条が削除されています。なおかつ、第7条において「内閣の助言と承認」が「進言」に置き換えられています。
「進言」というのは「目上の者に意見を申し述べること」です。「承認」という言葉を削除したことにより、最終決定権を天皇が持つという解釈ができるようになっています。
このようなことから、もし「元首」という言葉を憲法上で使ってしまうとどういうことになるでしょうか。
象徴に留まらず「元首」という実質的な地位が天皇に与えられることになります。そうして、天皇の言動にも「権力」が生まれることになります。
その結果として、天皇の発言や行為を無視できなくなっていくでしょう。憲法上に書かれてしまえば、天皇の行為を無視することが憲法違反となるからです。
現憲法をもう一度読む
天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。
後記
自民党は明らかに、日本を第二次世界大戦以前に戻そうとしています。
それがこの第一条改正案にも如実に現れているといっても差し支えないでしょう。
繋がりのある条文
この第1条とも繋がりの深い条文は以下の通りです。
(リンクの文章は記事のタイトルではなく、関連がわかるような紹介文にしています)
興味のあるところを是非。
この第1条とも繋がりの深い条文は以下の通りです。(リンクの文章は記事のタイトルではなく、関連がわかるような紹介文にしています)
興味のあるところを是非。
最後まで読んでくださってありがとうございました!