【日本国憲法第3条の解説】天皇は内閣の意見に従う。ゆえに責任も内閣に。

日本国憲法第3条

日本国憲法第3条では、天皇は内閣の意見に従わねばならないということ、それゆえに、天皇の行いの責任は内閣が取るということについて書かれています。
では具体的に見ていきましょう。

目次

条文:第3条【内閣の助言と承認及び責任】

天皇の国事に関するすべての行為には、内閣の助言と承認を必要とし、内閣が、その責任を負ふ。

第3条の解説

天皇の国事(天皇が国民のために行うなにかの行事)はすべて、内閣の意見に従わなければならない。その代わり、国事に関する責任は内閣にある。

■要点

天皇が国のため・国民のために何かを行う時は、必ず内閣からのアドバイスと承認を経なければならない、と規定されているのがこの条文です。

例えば新たに法律ができたとき等の公布も天皇の名で行います。

ですが、実際に作っているのは国会です。そして内閣の責任のもと、天皇の名で公布……とするというわけです。それが、この日本国憲法が定めた「象徴としての天皇」なのですね。

自民党による憲法改正草案との比較:草案第6条第4項

天皇の国事に関する全ての行為には、内閣の進言を必要とし、内閣がその責任を負う。ただし、衆議院の解散については、内閣総理大臣の進言による。

■変更点

「助言と承認」が「進言」という文言に変更されています。
そして、ただし書きが追記されました。⇒衆議院解散については、内閣ではなく内閣総理大臣単独の進言となりました。

■自民党による言い分

天皇の行為に対して「承認」とは礼を失することから、「進言」という言葉に統一しました。
従来の学説でも、「助言と承認」は一体的に行われるものであり、区別されるものではないという説が有力であり、「進言」に一本化したものです。

(日本国憲法改正草案Q&A増補版より引用)

■問題点

「進言」というのは「目上の者に意見を申し述べること」です。
この時点で、「天皇を内閣の上位に置こう」という魂胆が見えてきます。

さらに、本来の意味の「進言」の中のどこにも、「承認」を意味するような内容は入っていません。

自民党は「助言と承認は一体的に~」などといっていますが、詭弁に過ぎません。
区別されるものではないと言っていますが、通常は区別されますよね。助言と承認はあくまでも別物です。だからこそ、現憲法ではわざわざ「助言と承認」と書いたのでしょう。実際の事務処理としては一体化されていることもあるのかもしれませんが。

これを「進言」という言葉にしてしまうことによって、最終決定権を天皇が持つという風に解釈することも可能となってしまいます。いえ、むしろ、そのつもりでこのようにしたのでしょう。

いくら内閣が責任を負うことにしているとはいえ、大日本帝国憲法に戻したい自民党らしい、姑息なやり方だと感じました。

まとめ

失礼を失するもなにも、天皇はあくまでも「象徴」であるということを徹底させようとしているのが現憲法です。日本のトップではないのです。この第3条にもそれがはっきりと表れています。

それを、詭弁にも近い言葉遊びで天皇を日本という国の最上位に位置付け、権威付けをしようと画策してるのが改正案です。

時の内閣や天皇陛下がまともであれば、そこまで心配しなくてもいいのかもしれません。でも、そうでなかったら……?

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