【日本国憲法第1条の解説】日本における天皇の地位とは?

日本国憲法第1条

日本国憲法第1条では、日本における天皇の地位について書かれています。
では具体的に見ていきましょう。

目次

条文:第1条【天皇の地位と主権在民】

天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。

第1条の解説

天皇は、日本のシンボルである。そして、日本国民の心をひとつにするための旗印である。天皇という地位は、主権を持っている私たち国民が決めたものである。
(※更なる意訳⇒国を治めるのは天皇ではなく、私たち国民である)

■要点①:かつては「天皇は神様」だった

旧憲法である大日本帝国憲法では、「天皇は神聖にして侵すべからず」とと書かれていました。
そして、国家の主権は天皇にあることも。天皇が国家に関するすべての権利を握っていたのです。

そう、実に協力な地位であり、そしてわかりやすく言えば、国民は「天皇の家来」だったのです。
そして、虎の威を借りる狐のような大臣や役員たちが「天皇の命令だ」といえば、抗う術はなかなかありませんでした。

ところで、なぜこのようになったのでしょうか?

それは、「日本は神様が作った(イザナギとイザナミが有名ですね)」という日本神話から来ています。そして、天皇はそんな国を作った神様の子孫であると言われ続けてきました。ゆえに、天皇が国を治めるのが道理であるのだ、となったのです。

■要点②:今の天皇の地位は「国民の総意」のもとで成り立っている

第二次世界大戦の後、日本もようやく「民主主義」に気づいていきます。
そして、国の主権は国民である。天皇は神様ではない、ということを明確にしていくことになりました。

そこで決まったのがこの第1条です。
「天皇は国民の総意に基づく」、つまり「天皇の地位を国民が支持する」と。

自民党による憲法改正草案との比較:草案第1条

天皇は、日本国の元首であり、日本国及び日本国民統合の象徴であって、その地位は、主権の存する日本国民の総意に基づく。

■変更点

「元首」という言葉が追記されています。
ところで、元首とはなんでしょうか?

元首(国家元首)とは?
国際法上、外国に対して国を代表する者のこと。

元首に関する規程を持たない国も存在する。
また、政治の実権を握っている者が元首となっているわけではない国も少なくない。
例)イギリス、オランダ、タイ等。国王が元首だが、政治上の実権は握っていない。日本もそうである。

■自民党による言い分

現在も外交儀礼としては天皇が元首となっているため、明記すべきであるという考えから。

■問題点

「元首」について特別規程していない国も少なくない、ということは政府も承知しているはずなのです。また、現在の天皇の形(象徴であり、だけど外交儀礼としては日本の代表となる)に不満を抱いている国民は少ないということもわかっています。

そんな中、なぜ自民党は「元首」と明記したがっているのか。
そのことに対しては憲法学者の木村草太氏が以下のように述べています。

天皇を『元首』と明記すると、条約の締結や外交上の代表が必要なとき天皇がその任を負うと解釈される可能性が出てくる。(天皇を元首にする憲法改正を訴える人たちは)動機としては戦前復古的な天皇の地位を増強する国がいい国だという思いが表れているのだと思う。

改憲に意欲的なメンバーを見ても、こちらの方が本意であろうということは想像に難くありません。

まとめ

旧憲法では天皇の地位は強力なものでした。
ですが、それ以前は今の形に近い部分だったように思います。例えば、江戸時代、政治的な実権は徳川家が握っていたけれど、「天皇」は存在していたというふうに。

それほどまでに、日本の根っこにはあまりにも「天皇・神様」というものが染みついているのでしょう。

とはいえ、現憲法は、戦争の反省の下で成り立っているものです。
ですから、やはり「元首」という文言は不要ではないかと思っています。今までそれで困ったことはありませんし、他にも同じような国もあるわけですしね。

天皇制の是非はまた別問題として、「元首」という文言はいらない、というのが私の考えです。

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