【日本国憲法第52条の解説】毎年一回、国会を開くこと

日本国憲法第52条 常会

こちらは日本国憲法第52条の解説記事です。

この第52条が伝えたいポイントというのは……

日本国憲法にて、毎年一回国会(通常国会)を開くことが定められています。

日本国憲法にて、毎年一回国会(通常国会)を開くことが定められています。

具体的にはどういうことなのか?

そして、自民党が推し進めようとしている改憲草案の中身は?
その問題点とは?そういった解説・考察をしています。

ぜひ最後まで読んでもらえたら嬉しいです!

目次

日本国憲法第52条【常会】

意訳

毎年一回は通常国会を開くこと。

毎年一回は通常国会を開くこと。

原文

国会の常会は、毎年一回これを召集する。

日本国憲法第52条を更に深堀してみよう

要点:常会(通常国会)について

年に一回は必ず国会を開くよう憲法について定められています。
そして、詳細については「国会法」という法律にて別途定められています。
現在は以下のようになっています。

年に一回は必ず国会を開くよう憲法について定められています。そして、詳細については「国会法」という法律にて別途定められています。現在は以下のようになっています。

  • 毎年1月中に召集すること
  • 会期は150日間とする
  • 1回のみ延長可能
  • 会期中に議員の任期が満了もしくは解散となった場合は、その後臨時国会を必ず開くこと

基本的には1月中旬~下旬に開催され、6月中旬~下旬に閉会、という流れです。

なお、1回だけ認められている延長ですが、期間に決まりはありません。
理屈上は、翌年の通常国会開催の前まで延長することが可能です。

基本的には1月中旬~下旬に開催され、6月中旬~下旬に閉会、という流れです。

なお、1回だけ認められている延長ですが、期間に決まりはありません。理屈上は、翌年の通常国会開催の前まで延長することが可能です。

この第52条の改憲草案はどんな内容?

自民党はこの第52条をどのように改憲しようとしているのでしょうか。
そして、その問題点とは?
簡単にいうと、以下の通りです。

何をどう変えようとしている?

会期については法律で定める旨を明記してきました。

問題点は?

現在と変わらないと言えば変わらない、
悪用しようと思えば悪用できる、そんな微妙な問題点をはらんでいます。

改憲草案の原文を紹介します。そして具体的に考察もしてみました

改憲草案原文:第52条

※赤文字が変更箇所です。

(通常国会)
通常国会は、毎年一回召集される。

2(新設)
通常国会の会期は、法律で定める。

(通常国会)
通常国会は、毎年一回召集される。

2(新設)
通常国会の会期は、法律で定める。

自民党による言い分

会期の延長については、特に規定を置きませんでしたが、
これも法律委任の中に含まれると解しています。

(日本国憲法改正草案Q&A増補版より引用)

会期の延長については、特に規定を置きませんでしたが、これも法律委任の中に含まれると解しています。

(日本国憲法改正草案Q&A増補版より引用)

改憲草案の問題点:「暗黙の了解」だったことが法律次第になりかねない

2(新設)
通常国会の会期は、法律で定める。

要点のところで解説したように、現在も「国会法」という法律にて会期が定められています。
ですが、憲法ではそのことが定められていない(法律に従えと書かれていない)ため、
この会期というのは、良心に従って法律に従い150日しっかり開く、というようなところもあります。

ですが、これを明確に「法律で定める」とした場合。

それを悪用できる要素が明確に生まれてしまうのです。

法律を、その時の与党に都合よく変更してしまいやすくなるのですね。
そうして、その会期に従わないことが「憲法違反」となってしまいます。

考えすぎでしょうか?

ですが、この次の条文である第53条にて定めれられている臨時国会は、
既に憲法の条文を悪用されている状態です。
「臨時国会の要求があったら開催しなければならない」のですが、
何日以内にというような期限が定められていません。

ですが、これも今までは(安倍内閣より前までは)、
良心・暗黙の了解により、比較的速やかに開催されてきました。

しかし、期限が書かれていないことを悪用した安倍内閣・菅内閣は、この要求を無視しています。
本来なら「違憲扱い」なのですが、期限がないことを理由にしてしまえば、
今の司法ではおそらくそちらが通ってしまうことでしょう。
メディアもあまり責め立てませんでしたし。

ですので、「会期は法律で定める」と明確にすることにより、
法律を悪意を持って変更されても、それに対して対抗しづらくなる危険性が生まれてしまうと
そう考えても、おそらく考えすぎではないでしょう。

現憲法をもう一度読む

国会の常会は、毎年一回これを召集する。

後記

通常国会にて予算や政策、法律等色々が議論が交わされています。
もしも、この第52条がなかったら。
通常国会を開くことが義務付けられていなかったら、国会が開かれない年度もあったのだろうか、
なんてことも考えてしまいます。

そして、改憲草案の問題点について。
最初は、何の問題もないと考えていました。
ですが、臨時国会を開こうとしない(野党の要求に応じない)様子を見て、
ああ、もしかしたらこのような悪用の仕方ができる可能性があるのだと気づきました。
それで、このように解釈してみました。

通常国会にて予算や政策、法律等色々が議論が交わされています。
もしも、この第52条がなかったら。通常国会を開くことが義務付けられていなかったら、国会が開かれない年度もあったのだろうか、なんてことも考えてしまいます。

そして、改憲草案の問題点について。
最初は、何の問題もないと考えていました。ですが、臨時国会を開こうとしない(野党の要求に応じない)様子を見て、ああ、もしかしたらこのような悪用の仕方ができる可能性があるのだと気づきました。
それで、このように解釈してみました。

この第52条とも繋がりの深い条文は以下の通りです。
(リンクの文章は記事のタイトルではなく、関連がわかるような紹介文にしています)
興味のあるところを是非。

この第52条とも繋がりの深い条文は以下の通りです。(リンクの文章は記事のタイトルではなく、関連がわかるような紹介文にしています)
興味のあるところを是非。

最後まで読んでくださってありがとうございました!

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