【憲法第53条の解説】臨時国会開催についての規定

こちらは日本国憲法第53条の解説記事です。

前編・後編の2部構成としています。
基本的には前編だけでも、その条文の伝えたいこと、
自民党提案の改正草案の中身(問題点)がわかるようにしています。
まずは前編でも是非読んでいただけたら嬉しいです。

更に深堀した内容は後編に書いていますので、
興味のある方は最後まで是非。

目次

前編:日本国憲法第53条【臨時会】

意訳

通常国会が終わった後も、必要に応じて内閣は国会を開くことができる。
また、衆議院もしくは参議院の1/4以上の議員が臨時国会の開催を求めた場合は、国会を開かなければならない。

原文

内閣は、国会の臨時会の召集を決定することができる。いづれかの議院の総議員の四分の一以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない。

この第53条が伝えたいポイント

内閣は、大事なことが起こった時は臨時国会を開くことができます。
また、内閣が国会を開きたくなくても、
衆議院もしくは参議院の1/4以上の議員が「国会を開け」と内閣にかけあった場合は
内閣は国会を開かなければなりません。

自民党による改正草案について

何をどう変えようとしている?

1/4以上の議員から要求があったら「20日以内に」臨時国会を開く、と期限を明記している。

問題点は?

期限を明記しているので、この規定に関してはむしろいい改正案です。

前編はここまでです。後編では更に詳しく解説していますので、興味のある方はよかったら是非!ちなみに、改正草案の原文も後編の方で記載しています。
この第53条と繋がりのある条文記事も是非!記事下にあります➡繋がりのある条文を見る

後編:日本国憲法第53条を更に深堀してみよう

要点①:どんな時に「臨時国会」が求められる?

通常国会(第52条)は150日間と国会法にて定められています。
かつ、1回だけ延長を認められています。

そんな通常国会を閉じた後、災害等なにかしら大きな出来事が起こることがあります。
また、通常国会で議論しきれないまま閉会してしまうこともあります。
予算のこと、新たに法律を設けるべきか、等……。

通常国会は終わってしまったけれど、やはりまた国会を開いて議論すべきではないのか?

そんな時に国会を開けるよう定められたのがこの第53条です。
そして、開くためのルールが以下の2つです。

  1. 内閣側からの召集
  2. 衆議院または参議院の1/4以上の議員からの要求があった場合

特に2番目は、内閣が国会を開くのを面倒くさがったり逃げたりすることを防ぐための大切なルールです。

改正草案原文:第53条

※赤文字が変更箇所です

内閣は、臨時国会の召集を決定することができる。いずれかの議院の総議員の四分の一以上の要求があったときは、要求があった日から二十日以内に臨時国会が召集されなければならない。

自民党による言い分

現行憲法では(中略)、臨時国会の召集期限については規定がなかったので、今回の草案では、「要求があった日から20日以内に臨時国会が召集されなければならない」と、規定しました。党内議論の中では、「少数会派の乱用が心配ではないか」との意見もありましたが、「臨時国会の召集要求権を少数者の権利として定めた以上、きちんと召集されるのは当然である」という意見が、大勢でした。

(日本国憲法改正草案Q&A増補版より引用)

これはまともな改正草案です。

問題点はありません。

後記

改正草案のところに「まとも」とは一応書きましたが……。

この憲法制定当時、期限をあえて書かなかったのは
「要求を無視する」ことを想定していなかったからではないでしょうか。
臨時国会要求の条件が成立次第、速やかに臨時国会を開くものだという認識だったと思われます。

というより、本来はそうでしょう。

ところが、2020年における安倍晋三内閣は野党の臨時国会要求を無視しました。

そして2021年、菅義偉内閣もまた臨時国会の要求を突っぱね、
自民党総裁選にいそしむことに決めました。

現行憲法でも開催を定められているので、「見送る」というのは明確な憲法違反です。

そして、自分たち自民党で考えている改正草案には「20日以内に」と期限を明確にしたのに、
それさえも反故にしてしまいました。

どこまでも不誠実な政党であることがよくわかります。

※注釈
2021年8月31日、臨時国会開催を突っぱねた与党は自民党・公明党。
また、維新は臨時国会を要求していません。
そんな維新は隠れ与党だと言われています。

この第53条とも繋がりの深い条文は以下の通りです。
(リンクの文章は記事のタイトルではなく、関連がわかるような紹介文にしています)
興味のあるところを是非。

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