こちらは日本国憲法第54条の解説記事です。
前編・後編の2部構成としています。
基本的には前編だけでも、その条文の伝えたいこと、
自民党提案の改正草案の中身(問題点)がわかるようにしています。
まずは前編でも是非読んでいただけたら嬉しいです。
更に深堀した内容は後編に書いていますので、
興味のある方は最後まで是非。
前編:日本国憲法第54条【総選挙、特別会及び緊急集会】
意訳
原文
この第54条が伝えたいポイント
解散そのものに関しては第69条にて規定されています。
自民党による改正草案について
後編:日本国憲法第54条を更に深堀してみよう
要点①:衆議院解散後の流れ一覧
同時に参議院の閉会
※参議院は解散無し
なお、緊急の場合のみ、参議院のみの緊急集会開催可)
解散してから40日以内に行うこと
選挙日から30日以内に開催すること
もし、参議院のみの緊急集会が開かれていれば、その内容を衆議院にて改めて問うこと。
10日以内に衆議院の同意がなければ無効となる。
改正草案原文:第54条
※赤文字が変更箇所です
自民党による言い分
かつて、解散を決定する閣議において閣僚が反対する場合に、その閣僚を罷免するという事例があったので、解散の決定は、閣議にかけず、内閣総理大臣が単独で決定できるようにしたものです。
(日本国憲法改正草案Q&A増補版より引用)
改正草案の問題点①:言い分の「かつて」とは
小泉元首相が郵政民政化を進めるために衆議院を解散させたことがあるのはご存知の方も多いと思います。
この時、実は当時の内閣の一人が反対していました。
そのため、小泉純一郎元首相はその大臣を罷免し、自分が兼任するという乱暴な手段に出ました。
そういった一種の暴挙への反省もなく、
どうせ内閣総理大臣が勝手にできるんだから、だったら憲法上で堂々と認めようじゃないか、
というのが自民党の言い分です。
改正草案の問題点②:専権事項の危うさ
衆議院議員の生殺与奪が「総理大臣たった一人」にかかっています。
それにもかかわらず、実は改正草案において責任の所在はどこにもないことになっています。
また、総選挙にかかる費用も全て税金であり、総理大臣の懐が痛むわけでもありません。
そのため、安倍晋三氏は解散権をチラつかせ、衆議院議員を脅したりしていました。
(彼は自分一人でコントロールしているという高揚感がたまらなかったのでしょう。)
本来、国会というのは国民のために議論を交わして決める場です。
内閣総理大臣の思い通りの国をつくる場所ではありません。
後記
英国では、2011年に「議会任期固定法」が制定されています。
これは、解散には内閣の意思だけではなく、下院の承認も必要だという法律です。
このように、日本でもストッパーが必要な時期になってきていると思います。
内閣総理大臣だけで好き勝手出来る政治を作ってはいけません。
繋がりのある条文
この第54条とも繋がりの深い条文は以下の通りです。
(リンクの文章は記事のタイトルではなく、関連がわかるような紹介文にしています)
興味のあるところを是非。
最後まで読んでくださってありがとうございました。