こちらは日本国憲法第55条の解説記事です。
前編・後編の2部構成としています。
基本的には前編だけでも、その条文の伝えたいこと、
自民党提案の改正草案の中身(問題点)がわかるようにしています。
まずは前編でも是非読んでいただけたら嬉しいです。
更に深堀した内容は後編に書いていますので、
興味のある方は最後まで是非。
前編:日本国憲法第55条【資格争訟】
意訳
原文
この第55条が伝えたいポイント
自民党による改正草案について
後編:日本国憲法第55条を更に深堀してみよう
要点①:「議員の資格」とは?
この条文に書かれている「議員の資格」とはどういう意味でしょうか?
それは、
- 被選挙権(選挙に立候補できる権利)
- 他の議院との兼職をしていないかどうか
ということを言います。
この辺りの詳細は第44条にて規定されています。
(この記事の最後の方にも第44条へのリンクを貼っておきます。)
要点②:この規定はなんのためにある?
この規定は「議院の自律性を守るため」にあります。
不正を犯して議員に当選した人の資格を剥奪することができるように。
当選したもん勝ち、では困りますからね。
そのうえで、わざと議員をやめさせたりすることを防ぐために、
「3分の2以上の賛成を得ること」という規定も設けています。
とはいえ、今は選挙に立候補する時点で選挙管理委員会に審査されています。
ですので、実際にこの資格訴訟裁判が行われるような事態になったことはまだないそうです。
要点③:資格争訟裁判の流れ
実際の手続きについては、両議院の議員規則にて規定されています。
衆議院・参議院それぞれ少し異なりますが、大まかには以下の通りです。
- 提訴しようとした議員(原告議員)は、該当議員に関する訴状を作成、議長に提出
- 議長は委員会を設ける(参議院では「資格争訟委員会」)
- 委員会で審査する
- 訴えられた議員(被告議員)は弁護士を用意することが認められている
- 原告議員・被告議員ともに委員会に出席し、発言することも認められている
- 最後は議院で議決を採る
出席議員の3分の2以上の賛成があれば、被告議員は資格が剥奪され、国会を去らねばならない
改正草案原文:第55条
※赤文字が変更箇所です
「裁判」という言葉を、実務に即した言葉に変更しただけです。
後記
国会をできるだけまともに運用しようとしていることが垣間見られる条文の一つですね。
今は立候補の時点で審査されますので、よほど悪質な年齢詐称等がない限りは、
今後もこの条文が発動することはないと思います。
繋がりのある条文
この第55条とも繋がりの深い条文は以下の通りです。
(リンクの文章は記事のタイトルではなく、関連がわかるような紹介文にしています)
興味のあるところを是非。
最後まで読んでくださってありがとうございました。