【日本国憲法第63条の解説】国務大臣は議院から求められたら出席しなければならない

日本国憲法第63条

こちらは日本国憲法第63条の解説記事です。

この第63条が伝えたいポイントというのは……

国務大臣は議員でなくてもなれます。(第68条)
ですが、議員でなくても、議院の議会に出席できます。
衆議院議員でも参議院の議会へに参加、またその逆も認められています。

また、議院の方から出席を求められた場合は「必ず」出席しなければなりません
このように国会は内閣(総理大臣達)を絶えず監視することが認められたのです。

国務大臣は議員でなくてもなれます。(第68条)ですが、議員でなくても、議院の議会に出席できます。衆議院議員でも参議院の議会へに参加、またその逆も認められています。

また、議院の方から出席を求められた場合は「必ず」出席しなければなりません。このように国会は内閣(総理大臣達)を絶えず監視することが認められたのです。

具体的にはどういうことなのか?

そして、自民党が推し進めようとしている改憲草案の中身は?
その問題点とは?そういった解説・考察をしています。

ぜひ最後まで読んでもらえたら嬉しいです!

目次

日本国憲法第63条【国務大臣の出席】

意訳

内閣総理大臣や国務大臣はいつでも、衆議院または参議院の会議に出席して発言することができる。
また、議院から、質問や何かの説明のために呼び出されたら、必ず出席しなければならない。

内閣総理大臣や国務大臣はいつでも、衆議院または参議院の会議に出席して発言することができる。また、議院から、質問や何かの説明のために呼び出されたら、必ず出席しなければならない。

原文

内閣総理大臣その他の国務大臣は、両議院の一に議席を有するしないとにかかはらず、何時でも議案について発言するために議院に出席することができる。又、答弁又は説明のため出席を求められたときは、出席しなければならない。

日本国憲法第63条を更に深堀してみよう

要点①:総理大臣・国務大臣は両議院の議会に自由に参加できる

内閣総理大臣はたいてい衆議院議員から選ばれることが多いですが、実は参議院議員から選んでも問題ありません。
これは国務大臣も同様です。
また、国務大臣においては、半数以下であれば国会議員でなくても構いません。(第68条

ですが、だからといって国会の議会に参加できない、または片方だけとなれば職務を果たしにくいですよね。
よって、総理大臣や国務大臣は衆議院・参議院問わず、自由に出席して発言する権利を認めました。

内閣総理大臣はたいてい衆議院議員から選ばれることが多いですが、実は参議院議員から選んでも問題ありません。これは国務大臣も同様です。また、国務大臣においては、半数以下であれば国会議員でなくても構いません。(第68条

ですが、だからといって国会の議会に参加できない、または片方だけとなれば職務を果たしにくいですよね。よって、総理大臣や国務大臣は衆議院・参議院問わず、自由に出席して発言する権利を認めました。

要点②:呼ばれたら「必ず」出席しなければならない

議院の方から質問に対する答弁やなにかしらの説明を求められた場合、国務大臣に拒否権はありません。
国会へ必ず出席することが義務付けられています。

実は明治憲法にはこういったことは義務付けられていませんでした。
出席する権利だけだったのです。

ですが、日本国憲法は「権力者を監視するために」作ったものなので、
こういった意味でも国務大臣が逃げられないようにしっかりと義務づけられました。

議院の方から質問に対する答弁やなにかしらの説明を求められた場合、国務大臣に拒否権はありません。国会へ必ず出席することが義務付けられています。

実は明治憲法にはこういったことは義務付けられていませんでした。出席する権利だけだったのです。

ですが、日本国憲法は「権力者を監視するために」作ったものなので、こういった意味でも国務大臣が逃げられないようにしっかりと義務づけられました。

要点③:議院内閣制だからこそ、このようになった

要点②のようにしたのは、
国会が絶えず内閣の動きを監督できるようにするためです。

というのも、日本は「議院内閣制」だからなんですね。
つまり、内閣の組織と存続の基礎が国会にあるという制度です。

ゆえに、国会は常に内閣を監視し、国会の意見を無視しないようにしているのです。

要点②のようにしたのは、国会が絶えず内閣の動きを監督できるようにするためです。

というのも、日本は「議院内閣制」だからなんですね。つまり、内閣の組織と存続の基礎が国会にあるという制度です。ゆえに、国会は常に内閣を監視し、国会の意見を無視しないようにしているのです。

この第63条の改憲草案はどんな内容?

自民党はこの第63条をどのように改憲しようとしているのでしょうか。
そして、その問題点とは?
簡単にいうと、以下の通りです。

何をどう変えようとしている?

現在は「求められたら必ず出席しなければならない」となっているが、
それを断ってもいいようにしようとしています。(出席義務の緩和)

問題点は?

国会の、政府を監視する力の弱体化が懸念されます。
→行政権(内閣)の力が強くなり、大臣が何かをしでかしても国会の追及を逃れやすくなるからです。

改憲草案の原文を紹介します。そして具体的に考察もしてみました

改憲草案原文:第63条

※赤文字が変更箇所です。

内閣総理大臣及びその他の国務大臣は、議案について発言するため両議院に出席することができる。

2
内閣総理大臣及びその他の国務大臣は、答弁又は説明のため議院から出席を求められたときは、
出席しなければならない。
ただし、職務の遂行上特に必要がある場合は、この限りではない。

内閣総理大臣及びその他の国務大臣は、議案について発言するため両議院に出席することができる。

2
内閣総理大臣及びその他の国務大臣は、答弁又は説明のため議院から出席を求められたときは、出席しなければならない。ただし、職務の遂行上特に必要がある場合は、この限りではない。

自民党による言い分

特に外務大臣などは重要な外交日程があることが多く、
国会に拘束されることで国益が損なわれないようにするという配慮から置いたものです。

(日本国憲法改正草案Q&A増補版より引用)

特に外務大臣などは重要な外交日程があることが多く、国会に拘束されることで国益が損なわれないようにするという配慮から置いたものです。

(日本国憲法改正草案Q&A増補版より引用)

改憲草案の問題点①:国会の審議が形骸化する可能性がある

改憲草案をすべて読むと、とにかく「戦争ができる国」にしようとしているのがわかります。

その際、この条文改正(国務大臣の出席義務の緩和)も認められると、
内閣が独断で決めやすくなってしまいます。

つまり外交上で何かが起こった時「今は緊急だ、出席できない」といったことがまかり通り、
国会の承認を経ないまま軍隊を送り戦争を始めてしまうということが懸念されます。

そしてこれこそが、自民党の最大の目的だといっても過言ではないでしょう。

重大事案であればあるほど、国会で慎重に審議を交わさなければならないのですが、
改憲草案は、行政権を優位に持っていって国会を軽視しようとしているので、問題なのです。

改憲草案をすべて読むと、とにかく「戦争ができる国」にしようとしているのがわかります。

その際、この条文改正(国務大臣の出席義務の緩和)も認められると、内閣が独断で決めやすくなってしまいます。

つまり外交上で何かが起こった時「今は緊急だ、出席できない」といったことがまかり通り、国会の承認を経ないまま軍隊を送り戦争を始めてしまうということが懸念されます。

そしてこれこそが、自民党の最大の目的だといっても過言ではないでしょう。

重大事案であればあるほど、国会で慎重に審議を交わさなければならないのですが、改憲草案は、行政権を優位に持っていって国会を軽視しようとしているので、問題なのです。

戦争に限らずとも……

例として挙げた戦争に限らずとも、
国内政治においても国会で議論することなく物事が進んでしまう可能性が大きくなります。

現在であれば、大臣が勝手なことを言っても
国会で呼び出して問い詰めたりして正すことができます。

ですが、この改正によってそれがやりにくくなるのですからね。

例として挙げた戦争に限らずとも、¥国内政治においても国会で議論することなく物事が進んでしまう可能性が大きくなります。

現在であれば、大臣が勝手なことを言っても国会で呼び出して問い詰めたりして正すことができます。

ですが、この改正によってそれがやりにくくなるのですからね。

改正草案の問題点②:自民党は外交上の都合を例にしているが……

自民党の言い分としては外交上の都合を理由に挙げています。

ですが、実際に外交関係で海外に行かねばならないとしても、
帰国してから改めて出席すればいいだけの話なのです。

それを、「全面的に欠席することを認める」ことにしようとしています。

自民党の言い分としては外交上の都合を理由に挙げています。

ですが、実際に外交関係で海外に行かねばならないとしても、帰国してから改めて出席すればいいだけの話なのです。

それを、「全面的に欠席することを認める」ことにしようとしています。

現憲法をもう一度読む

内閣総理大臣その他の国務大臣は、両議院の一に議席を有するしないとにかかはらず、何時でも議案について発言するために議院に出席することができる。又、答弁又は説明のため出席を求められたときは、出席しなければならない。

後記

出席を求められたら「必ず」出席しなければならない、
としっかりと規定されていることはおわかりいただけたでしょうか。
こうやって、「政府をしっかりと監視できる」ようになっているのが今の憲法です。

対して、改憲草案に新たに挿入された一文。
なんともない一文のようで、実はかなり大きい一文です。
民主主義の後退、国会の内閣監視の弱体、内閣の優位性、つまり独裁がしやすくなるのです。

出席を求められたら「必ず」出席しなければならない、としっかりと規定されていることはおわかりいただけたでしょうか。こうやって、「政府をしっかりと監視できる」ようになっているのが今の憲法です。

対して、改憲草案に新たに挿入された一文。なんともない一文のようで、実はかなり大きい一文です。民主主義の後退、国会の内閣監視の弱体、内閣の優位性、つまり独裁がしやすくなるのです。

この第63条とも繋がりの深い条文は以下の通りです。
(リンクの文章は記事のタイトルではなく、関連がわかるような紹介文にしています)
興味のあるところを是非。

この第63条とも繋がりの深い条文は以下の通りです。(リンクの文章は記事のタイトルではなく、関連がわかるような紹介文にしています)
興味のあるところを是非。

最後まで読んでくださってありがとうございました!

こちらは日本国憲法第63条の解説記事です。

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