【日本国憲法第75条の解説】国務大臣を逮捕するには内閣総理大臣の許可が必要

日本国憲法第75条では、国務大臣の訴追について規定しています。
では具体的に見ていきましょう。

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条文:第75条【国務大臣訴追の制約】

国務大臣は、その在任中、内閣総理大臣の同意がなければ、訴追されない。但し、これがため、訴追の権利は、害されない。

第75条の解説

国務大臣の在任中、国務大臣を訴えたり逮捕したりするには、内閣総理大臣の同意が必要である。
ただし、そういった訴追の権利そのものを侵すことはない。

■要点①:なぜこのような規定があるのか

どうしてこのような甘い規定があるのでしょうか。

それは、在任中に裁判にかけられたり逮捕されたりしてしまうことによって内閣職務、つまり行政執行が停まることのないように設けられた規定です。いわば国務大臣に与えらえた特典……特権ですね。

なお、第50条にて国会議員の不逮捕権も規定されています。

■要点②:時効は停止される

もし内閣総理大臣の同意が得られず、訴追ができない場合は時効が停止されます。
つまり、同意が得られなかった時期から在任退任するまでの間の分、時効が延長となりますので、在任中に時効を迎えて逮捕できなくなる……なんてことはありません。
そして、国務大臣の退任と同時に訴追することができます。

これが「但し、これがため、訴追の権利は、害されない。」の具体的な意味となります。

■要点③:内閣総理大臣に対する訴追は?

内閣総理大臣に対してはどうなるのでしょうか?
この憲法第75条には、内閣総理大臣自身は含まれていません。

このあたりは、含むと解釈する向きもありますが、自ら同意を拒否することができてしまいますので、なかなか難しいでしょう。さらに、国会議員全体をさす第50条:議員の不逮捕特権があります。

ですので、実際に内閣総理大臣を逮捕する場合は、第58条による「除名」を経て逮捕という方法しかないとも言われていますが、現実的にはかなり難しいようです。

それだけ内閣総理大臣には非常に重い責任が伴っているものであるとも言えるでしょう。

自民党による憲法改正草案との比較:草案第75条

国務大臣は、その在任中、内閣総理大臣の同意がなければ、公訴を提起されない。ただし、国務大臣でなくなった後に、公訴を提起することを妨げない。

まとめ

ここ数年の内閣は、この特権を悪用しているようにも見えるのは気のせいでしょうか。

そして総理大臣。
ここまで大きな特権が許されているのは、逆に言えば「内閣総理大臣たるもの、訴追されるようなことはしないはずだ」という前提があるからだと思うのです。

そして、それだけ内閣総理大臣には重い債務が課せられているはずなのです。だからこそ、周りから簡単に辞職させられ内容に守られているのです。決して私利私欲のためではないはずなのですが……。

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