こちらは日本国憲法第90条の解説記事です。
この第90条が伝えたいポイントというのは……
具体的にはどういうことなのか?
そして、自民党が推し進めようとしている改憲草案の中身は?
その問題点とは?そういった解説・考察をしています。
ぜひ最後まで読んでもらえたら嬉しいです!
日本国憲法第90条【会計検査】
意訳
原文
日本国憲法第90条を更に深堀してみよう
要点①:会計検査院の仕事について
まず、予算は内閣が作成し、国会の議決を経て成立します。(⇒第86条)
そうして予算が決まりますが、
それらが適切に使われているかどうかをチェックする組織はやはり必要です。
その役目を担っているのが「会計検査院」です。
この会計検査院もまた他の政府機関から独立した組織であり、干渉を受けることはありません。
そんな会計検査院の仕事は大体以下の通りです。
まず、予算は内閣が作成し、国会の議決を経て成立します。(⇒第86条)
そうして予算が決まりますが、それらが適切に使われているかどうかをチェックする組織はやはり必要です。
その役目を担っているのが「会計検査院」です。この会計検査院もまた他の政府機関から独立した組織であり、干渉を受けることはありません。
そんな会計検査院の仕事は大体以下の通りです。
- 官公庁の決算の検査
- 国が補助金等で財政援助している独立行政法人等に対する検査
- 検査結果を報告書としてまとめる
- 報告、指摘
不正だけではなく、無駄遣いについてもどんどん指摘しています。
また、「金額」に対してだけではなく、
事業案に対しても改善や策定、見直しの進言も行っています。
不正だけではなく、無駄遣いについてもどんどん指摘しています。また、「金額」に対してだけではなく、事業案に対しても改善や策定、見直しの進言も行っています。
要点②:内部告発も受け付けている
会計検査院はサイト上にて情報提供を受け付けています。
いわゆる内部告発もです。
会計検査院はサイト上にて情報提供を受け付けています。いわゆる内部告発もです。
会計検査に関する情報を受け付けております。
会計検査院の検査対象である国や国が資本金を出資している法人、
国から補助金を受けている都道府県・市町村・その他の団体などの事務・事業や会計経理について、
不適切、不経済、非効率、効果不十分などと思われる事態がございましたら、情報をお寄せください。
会計検査の参考とさせていただきます。会計検査院のウェブサイトより会計検査に関する情報を受け付けております。
会計検査院の検査対象である国や国が資本金を出資している法人、国から補助金を受けている都道府県・市町村・その他の団体などの事務・事業や会計経理について、不適切、不経済、非効率、効果不十分などと思われる事態がございましたら、情報をお寄せください。会計検査の参考とさせていただきます。
この第90条の改憲草案はどんな内容?
自民党はこの第90条をどのように改憲しようとしているのでしょうか。
そして、その問題点とは?
簡単にいうと、以下の通りです。
改憲草案の原文を紹介します。そして具体的に考察もしてみました
改憲草案原文:第90条
※赤文字が変更箇所です。
改憲草案の問題点①:検査対象が「内閣だけ」になりかねない
現憲法では、主語が会計検査院であるうえに、検査対象を「国全体」としています。
このことによって、内閣だけではなく国会や裁判所はもちろんのこと、
各官公庁等、国に関するあらゆる機関に対して直接検査を行うことができるのです。
ところが、改正草案では「内閣」を主語にしました。
現憲法では、主語が会計検査院であるうえに、検査対象を「国全体」としています。
このことによって、内閣だけではなく国会や裁判所はもちろんのこと、各官公庁等、国に関するあらゆる機関に対して直接検査を行うことができるのです。
ところが、改正草案では「内閣」を主語にしました。
「 内閣は、国の収入支出の決算について、全て毎年会計検査院の検査を受け~ 」
このことにより、「会計検査院の検査を受けるのは内閣だけ」という解釈が成り立ってしまいます。
これは、検査対象が「内閣絡みのみ」とされるだけではなく、
国会や裁判所、官公庁等に関しては「内閣を通した間接的な検査」しかできなくなる、
そんな可能性も出てくるのです。
これは、検査対象が「内閣絡みのみ」とされるだけではなく、国会や裁判所、官公庁等に関しては「内閣を通した間接的な検査」しかできなくなる、そんな可能性も出てくるのです。
改憲草案の問題点②:検査範囲が「法律の範囲」に限定されてしまう
現憲法においては、検査の範囲や方法・手段は会計検査院の独自の判断や選択にゆだねられています。
他の国家機関から干渉を受けるようなことはありません。
※独自の判断や選択等が記載されているのが会計検査院法です。いわばマニュアルみたいなものですね。
ですが、改正草案では憲法上に「法律の定めるところにより」と入れてきました。
このことにより、
「法律によって定められた範囲で、定められた行動しかとれない」
ことになってしまいます。
つまり、「与党が作った法律」に沿った検査・報告内容のみを受け付けるということになりかねないでしょう。
「●●については調査しない」という法律ができてしまえば、それに従わざるを得なくなります。
憲法にて「法律の定めるところにより」と規定されているのですから。
現憲法においては、検査の範囲や方法・手段は会計検査院の独自の判断や選択にゆだねられています。他の国家機関から干渉を受けるようなことはありません。
※独自の判断や選択等が記載されているのが会計検査院法です。いわばマニュアルみたいなものですね。
ですが、改正草案では憲法上に「法律の定めるところにより」と入れてきました。
このことにより、「法律によって定められた範囲で、定められた行動しかとれない」ことになってしまいます。
つまり、「与党が作った法律」に沿った検査・報告内容のみを受け付けるということになりかねないでしょう。「●●については調査しない」という法律ができてしまえば、それに従わざるを得なくなります。憲法にて「法律の定めるところにより」と規定されているのですから。
現憲法をもう一度読む
国の収入支出の決算は、すべて毎年会計検査院がこれを検査し、内閣は、次の年度に、その検査報告とともに、これを国会に提出しなければならない。
2
会計検査院の組織及び権限は、法律でこれを定める。
後記
改憲草案も語順等をしっかり読んでいくと、会計検査院の権限と独立性を弱めようとしているのが見えてきます。
このことにより、不正はもちろんのこと、無制約な予算を通しやすくなってしまいます。
その結果はおそらく、今以上に軍事費に重きが置かれたり、
自民党が今以上に着服したりする社会として出てくるのだろうと思います。
そうそう、会計検査院の報告書を読んでみると、
「計画が適切でなかった」
「事業の目的を果たしていない」
「契約額が割高である」
等々、なかなか色々な無駄遣いに関する指摘が入っていることがわかります。
また、事業案の仕組みの改善等の進言も行っている組織なので、
独立性を保ちつつ、もっともっと頑張っていただきたいです。
改憲草案も語順等をしっかり読んでいくと、会計検査院の権限と独立性を弱めようとしているのが見えてきます。このことにより、不正はもちろんのこと、無制約な予算を通しやすくなってしまいます。
その結果はおそらく、今以上に軍事費に重きが置かれたり、自民党が今以上に着服したりする社会として出てくるのだろうと思います。
そうそう、会計検査院の報告書を読んでみると、
「計画が適切でなかった」
「事業の目的を果たしていない」
「契約額が割高である」
等々、なかなか色々な無駄遣いに関する指摘が入っていることがわかります。また、事業案の仕組みの改善等の進言も行っている組織なので、独立性を保ちつつ、もっともっと頑張っていただきたいです。
繋がりのある条文
この第90条とも繋がりの深い条文は以下の通りです。
(リンクの文章は記事のタイトルではなく、関連がわかるような紹介文にしています)
興味のあるところを是非。
この第90条とも繋がりの深い条文は以下の通りです。(リンクの文章は記事のタイトルではなく、関連がわかるような紹介文にしています)
興味のあるところを是非。
最後まで読んでくださってありがとうございました!