
ねぇ、もしもある日突然、警察に「ちょっと来てくれる?」って連れて行かれて、理由もよくわからないまま取り調べされて、そのまま何日も帰してもらえなかったら…?
そんなのあるわけない?
それとも、ありえるかも、って思ったかな?
実はね、昔の日本では、そういうことが普通に起きていたんだ。
「とりあえず捕まえとけ」でも全然OKで、弁護士もつけてもらえないという扱いが。
めちゃくちゃ怖くない?
だからこそ、今の憲法には「勝手に人を拘束しちゃダメ!」ってルールがあるんだよ。それがこれから説明する第34条。
これについて、天使くんと悪魔くんが話してくれているから、是非最後まで読んでいってね!
第34条【抑留及び拘禁の制約】
何人も、理由を直ちに告げられ、且つ、直ちに弁護人に依頼する権利を与へられなければ、抑留又は拘禁されない。又、何人も、正当な理由がなければ、拘禁されず、要求があれば、その理由は、直ちに本人及びその弁護人の出席する公開の法廷で示さなければならない。



悪魔くん、今日は日本国憲法第34条について話そう!
まずはさ、意訳してみてよ



理由も言わずに人を捕まえたり、ムショにぶち込んだりしちゃダメってことだ。
捕まえるなら、すぐに「これこれどうこうだからな!」って、理由をちゃんと本人に言わなきゃいけないし、弁護士をつける権利も渡さなきゃいけない。
で、本人とかその弁護士が「理由を説明しろ」って言ったら、ちゃんと法廷の場(裁判)でハッキリ説明しなきゃいけねぇって話。
正当な理由なしに拘束なんて、だめ、絶対!



うんうん、いいね!



要するにさ、理由も言わずにパクっちゃダメ、ってことだろ?
そんなんじゃ、国の治安なんて守れないだろが。
弁護士だの、公開の場で説明だの…あぁ面倒くせぇ。



うん、たしかに手間はかかるよね。
でもね、「面倒くさい」とかで人の自由を奪っちゃいけないんだ。
だって、自由ってね、とても大事な人権のひとつなんだよ。
だから憲法は、「本当に正当な理由があるときだけ、ちゃんと説明して、それでも必要な場合に限って拘束していい」ってルールにしたんだ。



でもさぁ、そいつが怪しい奴だったら、
とりあえず捕まえといた方がよくね?
理由なんて後からでもつけりゃ済む話だろ?



それがダメなんだよ、悪魔くん。
昔の日本、戦争が終わるまでの明治憲法の時代とかはね、まさにそんな感じだったんだ。
「なんか怪しいから」って理由で、警察が自由に人を捕まえて、裁判もせずに牢屋に入れたり、ひどいときには拷問だってあった。
この第34条は、そんな時代への「反省」から生まれたんだよ。



ふーん…。
でも今の時代にそんなこと、もう起こらないだろ?



起こらないようにするために、この条文があるんだよ。
この条文ができたからこそ、「そんなこと」を起こしてはいけないって変わることができたんだ。



憲法って、誰かを疑うためのルールじゃなくて、権力の暴走を止めるためのブレーキだから。
「警察や国だって間違えることがある」って前提で、国民を守るためのルールを作ってるんだよ。



じゃあさ、「正当な理由」ってなんだよ?
例えば、こいつムカつくから捕まえる、ってのはダメってのはわかるけどさ、何か盗んだっぽいってだけじゃ足りねーの?



「盗んだっぽい」じゃダメだね。
ちゃんと証拠や理由があって、「この人がこれこれこういうことをした疑いがある」って明確に説明できなきゃいけない。
しかも、その説明は本人にも伝えなきゃいけないんだ。



それからね、「弁護士を頼める権利」もすぐに与えなきゃいけないって書いてあるでしょ?
というのはね、捜査する人たちってやっぱり法律に関しては僕たちよりもずっと知っているじゃない?
そんな人たちに対して、一般人が一人で戦うのって無理があるからなんだ。



あ〜、なるほどな。
確かにパワーバランスは最初から不公平だよな。
警察や検察って「慣れている人たち」だし、
場合によっては国家のパワーもある。
それに対してこちらはただの市民。
そりゃ、弁護士いなきゃヤバいわな。



その通り!悪魔くん、いいところに気づいたね。
ちなみにね、
もし弁護士代が払えない人でも、「国選弁護人」っていう、
国が用意してくれる弁護士を頼める制度もあるんだよ。
この第34条もね、みんなの人権を守るための安全装置でもあるんだ。



でもさ、自民党とかがこの条文変えたいって言ってるって聞いたけど?
それって何かヤバい方向にいくってことか?



よく知ってるね。
ちょっと繰り返すけど、今の憲法では、逮捕して拘束するためには、
・理由をすぐに本人に言う
・この理由は、とにかく「正当」であること
・弁護人に依頼する権利もすぐにあげる
この3つ全部が必要。



でも、改憲案では、どれか1つでも満たしていればそれでいいって感じになっているんだ。
つまり、「正当な理由じゃなくても、とりあえず適当な理由を言えればOK」とか、そういうこともできるようになっちゃう。



……それ、ダメじゃね?
なんか昔の暗い時代に戻りそうなニオイがしてきたぞ。



うん。そうならないように、僕たちは憲法をしっかり理解して、声を上げて、選挙に行くことが大切なんだよ。
「何があっても、まず人の自由を守ること」。
それが憲法第34条の約束ってことさ。
まとめ
第34条は、簡単に言うと「人の自由を守るためのルール」です。
警察や国が力づくで人を捕まえたり、理由も言わずに拘束したりしないように。
そういう「国の暴走」を止めるためのストッパーでもあります。



このルールがあるおかげで、僕たちは毎日安心して暮らすことができているとも言えるかもしれないね。
ちょっとくらい不便でも、「手続きがちゃんとしている」ってことは、それだけでとても大事なことなんだ。

