「天皇が何もできないほど重い病気になったらどうするの？」
そんな場面、あまり考えたことがないかもしれないね。
でも実は、こういうときにどう対応するかというのも憲法で定められているんだ。
今回の記事では、「摂政（せっしょう）」という仕組みを通じて、天皇や国の安定を守るルールについてだよ。
天使くんと悪魔くんが話してくれているから、是非最後まで読んでいってね！
第5条【摂政】
皇室典範の定めるところにより摂政を置くときは、摂政は、天皇の名でその国事に関する行為を行ふ。この場合には、前条第一項の規定を準用する。
てんし悪魔くん、今日は日本国憲法第5条について話そう！
まずはさ、意訳してみてよ
あくま皇室典範で決められたルールに従って摂政になった人は、天皇の名で国に関する仕事をする。ただし、その仕事は憲法で決められた範囲だけに限られる。
てんしうんうん、いいね！
あくまおい天使、意訳してみたはいいけどよ、摂政だと？
天皇に何かあったときに代理を立てるって、そんなことする必要あるのか？天皇は絶対だろうが。
てんし悪魔くん、相変わらず極端な意見だね。天皇も人間で、病気になったりする可能性があるってこと忘れてない？
あと、もしかしたら未成年にして天皇に即位しなきゃいけないことだってあるかもしれないじゃない？
てんしだから、「摂政」という制度を作って、天皇が務めるべき国事行為を代わりに担当させることもできるようにしているんだよ
あくまふん、国事行為？天皇が国を治めるんじゃないのか？
てんしでね、国事行為ってのは、憲法で定められた儀式や行動のこと。例えば、国会の召集や憲法改正の公布があるよ
あくまそれじゃ、摂政もその仕事だけするってことか
てんしその通り。
摂政も天皇と同じように、憲法で決められたこと以外はしないし、できないよ。だから、国家権力を勝手に振るうことはないんだ
あくまふん、まあいい。
で、摂政が必要になるのはどんな時だ？病気とか未成年とか言ってたな、さっき
てんしうん、そうだよ！
改めて整理するね！
てんし例えば、天皇がまだ未成年の場合。
※今の基準でいえば18歳未満のこと
てんしそれから、天皇が病気や怪我で、職務ができない状態になった場合もだよ
あくまなるほどな。
で、それをどうやって決めるんだ？適当に決められたら困るだろ？
てんしもちろん適当に決めたりなんかしないよ。
内閣総理大臣がを議長として、皇族会議という場で話し合いが行われるんだ。そこで適切な人を摂政に選ぶよ
あくまふーん。
で、その「適切な人」ってどんな人なんだ？天皇は政治に関われないから、政治家ではないよな
てんしいい視点だね。
うん、摂政になれるのは皇族だけ。それも成年でなければいけないんだ。
そして優先順位が決まっているの。まず皇太子や皇太孫、その次が親王や王、それから皇后や皇太后……ってね
あくまなるほど。
まぁ、ここでもちゃんと政治と関われないようにしているんだな。少なくとも政治家が絡まないのは安心だな
あくまだけどな、天使、そもそもこういうルールを憲法でわざわざ決める意味がわからん。天皇がいればそれで十分だろ？
てんしこれもね、過去の過ちを繰り返さないための仕組みなんだよ。
明治憲法の時代、天皇の権限が大きすぎて戦争を止められなかった歴史を思い出してみて
あくまう……まぁ、確かにひどかったな
てんしだから現代の憲法では、天皇も含めて全ての権力を憲法の枠内に置いているんだ。
このおかげで、国民の自由や平和が守られる仕組みになっているんだよ
あくまそうなのか。憲法って本当に、思っていたよりも大切なもんだな
てんしそうだよ！同じ過ちを繰り返さないために、と考えられたものなんだ。大切にしていかなきゃね
まとめ
このように、天皇がピンチのときでも、代わりに仕事をする仕組みがちゃんと憲法に決められています。
そして、その役割も、ただ天皇の名の下で決められたことをするだけで、
勝手に何かを変えたりすることはできません。
だから、いくら内閣総理大臣でも、摂政になることはできないようになっています。
これもまた、とても慎重に作られた仕組みだね。とにかく、過去と同じ過ちは繰り返さない、という気持ちが、ここにも込められている気がしたよ
