日本国憲法は、国家の力を制限し、個人の自由を守り、そのための仕組みまで整えています。
以下の記事でそれぞれ案内しているので、もしまだでしたらぜひ読んでみてくださいね。
では、その憲法は「どんな国を目指しているのか」。
そして、社会が変化したとき、憲法は「どうやって見直されるのか」。
ここで扱うのは、日本国憲法が示す将来への方向性です。
具体的には、平和をどのように位置づけているのか(第9条)、
そして憲法を改正するにはどのような手続が必要なのか(第96条)を整理します。
憲法は固定された文章ではありません。
理念と手続の両方を通じて、未来とどう向き合うのかを考えるための枠組みでもあるのです。
この記事では、日本国憲法が掲げる平和の決意と、憲法改正という高いハードルの意味を整理していきます。
【この記事でわかること】
- 第9条が何を宣言しているのか(条文構造の確認)
- なぜ平和条項が憲法レベルで置かれているのか
- 憲法改正の手続き(第96条)の具体的内容
- なぜ改正ハードルが高く設定されているのか
①第9条とは何か?|戦争放棄と武力不行使の原則
日本国憲法第9条は、大きく二つの内容を掲げています。
- 国際紛争を解決する手段としての戦争を放棄すること
- 戦力を保持せず、交戦権を認めないこと
条文では、
武力による威嚇や武力の行使を、国際紛争を解決する手段として用いないと宣言しています。
そして、その前提として「戦力はこれを保持しない」と定めています。
大事なのは、第9条が単なる理想やスローガンではないという点です。
これは、国家の行動に対して憲法レベルで制限をかける条文です。
外交や安全保障は、本来、政府の裁量が広くなりやすい分野です。
状況次第で迅速な判断が求められるため、権限が集中しやすいともいえます。
その領域にあえて強い制約を置いていることが、日本国憲法の大きな特徴です。

②憲法改正とは何か?|第96条の厳格な手続き
憲法は、一度決めたら永遠に変えられない文書ではありません。
社会や価値観が変われば、内容を見直すべきだという議論が起こるのは自然なことかもしれません。
そして、そのための手続きを定めているのが、第96条です。
ですが、憲法を改正するには、二つの段階をクリアしなければなりません。
- 衆議院と参議院それぞれで、総議員の3分の2以上の賛成を得ること
- そのうえで、国民投票で過半数の賛成を得ること
通常の法律は、原則として出席議員の過半数で成立します。
それと比べると、憲法改正にははるかに高いハードルが設けられています。
これは、憲法が国家権力を縛る「最上位のルール」だからです。
簡単に変えられる仕組みでは、憲法としての役割が弱まってしまうからです。
簡単に変えることができたら、独裁政治がやりやすくなってしまいますよね。
だから、本当は憲法改正のハードルは極めて高いものなのです。

なぜここまで厳しいのか?
理由は、憲法の性質そのものにあります。
憲法は、国家権力を制限するためのルールです。
もしそのルールを、時の政権や多数派が簡単に書き換えられるとしたら、
権力を縛るという役割は弱まってしまいますよね。
だからこそ、憲法を変えるには、広く安定した国民的合意が求められます。
一時的な空気や勢いだけでは届かない水準に、あえてハードルが置かれているのです。
これは「改正してはいけない」という意味ではありません。
改正するのであれば、それだけの熟議と合意を経るべきだ、という意味なのです。
③平和と改正は対立概念ではない
「第9条を守るのか、それとも改正するのか」と、二者択一のように語られることがあります。
ですが、憲法のつくりを見れば、対立だけの話ではないことがわかります。
第9条は、平和国家としての基本原則を示す条文です。
一方で第96条は、その第9条を含む憲法全体を、どのような手続で見直すのかを定めています。
つまり、改正を議論すること自体も、憲法があらかじめ用意している正規のプロセスの中にあります。
ここに、立憲主義の枠組みがあります。
感情や勢いではなく、定められた手続に従って方向性を決めるという考え方です。
重要なのは、どの立場をとるか以前に、その議論が憲法の原則と手続きの中で行われているかどうかです。
まとめ
憲法全体をまとめてみます。
- 憲法は権力を縛る最高法規である
- その目的は個人の自由と尊厳を守ること
- そのために三権分立という仕組みがある
- そして国家の進む方向として平和を掲げ、改正という更新手続も用意している
憲法は、過去に作られてそのまま保存される文書ではありません。
これからの社会をどう形づくるかを示す、未来に向けた設計図です。
ニュースで第9条や憲法改正が取り上げられたとき、意識したいポイントは三つあります。
- その主張や動きは、憲法の基本原則(人権の尊重や立憲主義)と整合しているか
- 手続は、第96条が定めるルールに沿っているか
- 一時的な空気ではなく、どの程度の国民的合意が形成されているか
憲法は、特定の立場や政党のための道具ではありません。
一人ひとりの自由と尊厳を守るためのルールであり、
その内容をどうしていくかも、最終的には私たちの意思に委ねられています。
ここまで整理してみれば、憲法は決して「難しい条文」ではなく、
社会の動きを読み解くための視点となっていると思います。
