こちらは日本国憲法第3条の解説記事です。
この第3条が伝えたいポイントというのは……
具体的にはどういうことなのか?
そして、自民党が推し進めようとしている改憲草案の中身は?
その問題点とは?そういった解説・考察をしています。
ぜひ最後まで読んでもらえたら嬉しいです!
日本国憲法第3条【内閣の助言と承認及び責任】
意訳
原文
日本国憲法第3条を更に深堀してみよう
要点:天皇は独断で国事を行えない
「国・国民に関すること」においては、天皇が一人で勝手に決めて行動に移したり、命令したりすることはできません。
例えば、新たな法律の公布も天皇の名で行われます。
ですが、実際に作っているのは天皇ではなく国会です。
そして、その法律には内閣の連署が必要となります。
この過程を経て、天皇の名で公布されます。
とはいえ、責任は内閣にあるということです。
あくまでも天皇は、この日本国憲法が定めた「象徴」に過ぎないからです。
「国・国民に関すること」においては、天皇が一人で勝手に決めて行動に移したり、命令したりすることはできません。
例えば、新たな法律の公布も天皇の名で行われます。ですが、実際に作っているのは天皇ではなく国会です。そして、その法律には内閣の連署が必要となります。
この過程を経て、天皇の名で公布されます。とはいえ、責任は内閣にあるということです。あくまでも天皇は、この日本国憲法が定めた「象徴」に過ぎないからです。
この第3条の改憲草案はどんな内容?
自民党はこの第3条をどのように改憲しようとしているのでしょうか。
そして、その問題点とは?
簡単にいうと、以下の通りです。
改憲草案の原文を紹介します。そして具体的に考察もしてみました
改憲草案原文:第6条4項
※赤文字が変更箇所です。
自民党による言い分
天皇の行為に対して「承認」とは礼を失することから、「進言」という言葉に統一しました。
従来の学説でも、「助言と承認」は一体的に行われるものであり、区別されるものではないという説が有力であり、
「進言」に一本化したものです。
(日本国憲法改正草案Q&A増補版より引用)
天皇の行為に対して「承認」とは礼を失することから、「進言」という言葉に統一しました。従来の学説でも、「助言と承認」は一体的に行われるものであり、区別されるものではないという説が有力であり、「進言」に一本化したものです。
(日本国憲法改正草案Q&A増補版より引用)
改正草案の問題点①:「進言」という言葉を使うことの怖さ
現憲法では「内閣の助言と承認」となっていたところを「内閣の進言」と置き換えようとしています。
進言とは「目上の人に意見を申し述べること」という意味です。
つまり。
改憲を目論んでいる日本会議の人たちは
「天皇は国民よりも上位の地位にある人である」
としようとしているということです。
これは逆にいえば「国民は天皇よりも身分(または階級、地位)が下位である」となります。
現憲法では「内閣の助言と承認」となっていたところを「内閣の進言」と置き換えようとしています。進言とは「目上の人に意見を申し述べること」という意味です。
つまり。
改憲を目論んでいる日本会議の人たちは「天皇は国民よりも上位の地位にある人である」としようとしているということです。これは逆にいえば「国民は天皇よりも身分(または階級、地位)が下位である」となります。
現憲法の「助言と承認」とは
現憲法における「助言と承認」。
これは、通常の「助言」「承認」という意味合いからして考えても、
内閣と天皇の間には上下関係は存在しないと捉えられます。
「助言」「承認」という単語が持つ定義そのものに、お互いの上限関係は含まれていませんから。
確かに、第1条にて「天皇は象徴である」と定められており、天皇には実質何の効力を持っていません。
とはいえ「内閣より下位である」とかそういうことではなく、そこに上下関係は発生してない、のです。
現憲法における「助言と承認」。
これは、通常の「助言」「承認」という意味合いからして考えても、内閣と天皇の間には上下関係は存在しないと捉えられます。「助言」「承認」という単語が持つ定義そのものに、お互いの上限関係は含まれていませんから。
確かに、第1条にて「天皇は象徴である」と定められており、天皇には実質何の効力を持っていません。とはいえ「内閣より下位である」とかそういうことではなく、そこに上下関係は発生してない、のです。
改正草案の問題点②:国民主権が明らかに後退するおそれがある
問題点①にも書いたように、「天皇を国民より上位とする」ことによって。
現憲法が謳っている「国民主権」は明らかに後退し、形骸化します。
大日本帝国憲法(明治憲法)では、天皇の地位を国民よりも上であり絶対的なものとしていました。
そして明確に「主権は天皇」「国民は臣下である」としていました。
このような天皇の命令に国民が逆らうことは許されないとした結果が、
悲惨な戦禍を巻き起こすこととなったのです。
問題点①にも書いたように、「天皇を国民より上位とする」ことによって。
現憲法が謳っている「国民主権」は明らかに後退し、形骸化します。
大日本帝国憲法(明治憲法)では、天皇の地位を国民よりも上であり絶対的なものとしていました。そして明確に「主権は天皇」「国民は臣下である」としていました。
このような天皇の命令に国民が逆らうことは許されないとした結果が、悲惨な戦禍を巻き起こすこととなったのです。
改正草案の問題点③:天皇に政治的な権力を持たせることが可能となる
現憲法においては、天皇はあくまでも「象徴」です。
それも、「主権を持つ国民の意思に基づいて」そのように定められているとあります。
さらに、実は天皇には政治的な権力を持たせず。
あくまでも憲法にて定められている儀礼的な行事の範囲でのみ権力を持つことができると、
明確に憲法に定められています。
それが、「進言」という言葉によって天皇を国民よりも上の地位だとしてしまうことにより。
そして他の改憲内容ともリンクして、国民から主権が奪われてしまうことになるのです。
これは、かつての大日本帝国憲法へ近づくことを意味しています。
その結果は……
現憲法においては、天皇はあくまでも「象徴」です。それも、「主権を持つ国民の意思に基づいて」そのように定められているとあります。
さらに、実は天皇には政治的な権力を持たせず。あくまでも憲法にて定められている儀礼的な行事の範囲でのみ権力を持つことができると、明確に憲法に定められています。
それが、「進言」という言葉によって天皇を国民よりも上の地位だとしてしまうことにより。そして他の改憲内容ともリンクして、国民から主権が奪われてしまうことになるのです。
これは、かつての大日本帝国憲法へ近づくことを意味しています。
その結果は……
現憲法をもう一度読む
天皇の国事に関するすべての行為には、内閣の助言と承認を必要とし、内閣が、その責任を負ふ。
後記
改憲理由として、「助言と承認」は天皇に失礼だからと言っていますが、
天皇はあくまでも「象徴」であるということを徹底させようとしているのが現憲法です。
日本のトップでも、国民より立場が上の人でもないのです。
この現憲法第3条にもそれがはっきりと表れています。
それを、詭弁にも近い言葉遊びで天皇を日本という国の最上位に位置付け、
権威付けをしようと画策してるのが改正案です。
改憲理由として、「助言と承認」は天皇に失礼だからと言っていますが、天皇はあくまでも「象徴」であるということを徹底させようとしているのが現憲法です。日本のトップでも、国民より立場が上の人でもないのです。
この現憲法第3条にもそれがはっきりと表れています。
それを、詭弁にも近い言葉遊びで天皇を日本という国の最上位に位置付け、権威付けをしようと画策してるのが改正案です。
繋がりのある条文
この第3条とも繋がりの深い条文は以下の通りです。
(リンクの文章は記事のタイトルではなく、関連がわかるような紹介文にしています)
興味のあるところを是非。
この第3条とも繋がりの深い条文は以下の通りです。(リンクの文章は記事のタイトルではなく、関連がわかるような紹介文にしています)
興味のあるところを是非。
最後まで読んでくださってありがとうございました!