【日本国憲法第78条の解説】裁判官が簡単にクビにされない理由

日本国憲法第78条

こちらは日本国憲法第78条の解説記事です。

この第78条が伝えたいポイントというのは……

司法権の独立を守るための規定のひとつ。
外部から不当な圧力を受けることなく、職務に専念し全うできるように定められました。

政府に都合の悪い判決を下したからやめさせてしまえ、ということのないように、
行政機関が決めることはできないとしています。

※心身の故障は「長期にわたる場合」です。一時的なもので進退を問われることはありません。

司法権の独立を守るための規定のひとつ。外部から不当な圧力を受けることなく、職務に専念し全うできるように定められました。

政府に都合の悪い判決を下したからやめさせてしまえ、ということのないように、行政機関が決めることはできないとしています。

※心身の故障は「長期にわたる場合」です。一時的なもので進退を問われることはありません。

具体的にはどういうことなのか?

そして、自民党が推し進めようとしている改憲草案の中身は?
その問題点とは?そういった解説・考察をしています。

ぜひ最後まで読んでもらえたら嬉しいです!

目次

日本国憲法第78条【裁判官の身分の保障】

意訳

裁判官をクビにできるのは、国会議員による裁判(裁判官弾劾裁判所)だけである。
行政機関が裁判官の進退を決めることはできない。
なお、病気等によって仕事ができない状態になった場合は、
裁判にかけられなくても辞めさせられる場合もある。

裁判官をクビにできるのは、国会議員による裁判(裁判官弾劾裁判所)だけである。行政機関が裁判官の進退を決めることはできない。なお、病気等によって仕事ができない状態になった場合は、裁判にかけられなくても辞めさせられる場合もある。

原文

裁判官は、裁判により、心身の故障のために職務を執ることができないと決定された場合を除いては、公の弾劾によらなければ罷免されない。裁判官の懲戒処分は、行政機関がこれを行ふことはできない。

日本国憲法第78条を更に深堀してみよう

要点:裁判官の身分が、おそらく日本一保障されている理由

裁判官の身分は、おそらく日本で一番保障されているのではないでしょうか。
(報酬も減額無しが原則です:第79条第80条

何かしらの犯罪を犯して逮捕でもされない限り、
簡単にクビになったり懲戒処分を受けるといったことはありません。
選ばれた国会議員のメンバー以外の人が口出しすることはできないのです。

一応、最高裁判所の裁判官に関しては、衆議院議員総選挙の際に国民審査も行われています。
とはいえ、残念ながら、これは実質形骸化していますが……。
(この国民審査によって罷免された裁判官はいないようです)

裁判官の身分がこれほどまでに保障されているのは、

ここまで身分を保障しているのだから、
権力者に媚びることなく自分の良心と憲法に従って判断することができるでしょう?

ということなのです。

裁判官の身分は、おそらく日本で一番保障されているのではないでしょうか。(報酬も減額無しが原則です:第79条第80条

何かしらの犯罪を犯して逮捕でもされない限り、簡単にクビになったり懲戒処分を受けるといったことはありません。選ばれた国会議員のメンバー以外の人が口出しすることはできないのです。

一応、最高裁判所の裁判官に関しては、衆議院議員総選挙の際に国民審査も行われています。とはいえ、残念ながら、これは実質形骸化していますが……。(この国民審査によって罷免された裁判官はいないようです)

裁判官の身分がこれほどまでに保障されているのは、

ここまで身分を保障しているのだから、権力者に媚びることなく自分の良心と憲法に従って判断することができるでしょう?

ということなのです。

この第78条の改憲草案はどんな内容?

変更はありますが、意味としては現憲法と同じだと思われます。
勉強を進めていく過程で、もし問題に気づいたら改めて書きます。

改憲草案の原文を紹介します。

改憲草案原文:第78条

※赤文字が変更箇所です。

(裁判官の身分保障)
裁判官は、次条第3項に規定する場合及び心身の故障のために職務を執ることができないと
裁判により決定された場合を除いては、第64条第1項の規定による裁判によらなければ罷免されない。
行政機関は、裁判官の懲戒処分を行うことができない。

(裁判官の身分保障)
裁判官は、次条第3項に規定する場合及び心身の故障のために職務を執ることができないと裁判により決定された場合を除いては、第64条第1項の規定による裁判によらなければ罷免されない。行政機関は、裁判官の懲戒処分を行うことができない。

次条(第79条)第3項とは

国民審査のことが規定されています。
最高裁判所の裁判官は、国民の審査を受けなければなりません。
この審査によって罷免すべきだという審判を、国民によって下された裁判官は罷免されます。

次条(第79条)第3項とは

国民審査のことが規定されています。最高裁判所の裁判官は、国民の審査を受けなければなりません。この審査によって罷免すべきだという審判を、国民によって下された裁判官は罷免されます。

第64条第1項とは

弾劾裁判所について規定されています。
罷免するように突き上げられた裁判官について、実際に罷免するかどうかを決めるために、
衆議院・参議院の議員で構成される弾劾裁判所が開かれます。

第64条第1項とは

弾劾裁判所について規定されています。罷免するように突き上げられた裁判官について、実際に罷免するかどうかを決めるために、衆議院・参議院の議員で構成される弾劾裁判所が開かれます。

後記

身分が保障されている。
それは司法権の独立を守れる一方で、ある意味競争もしなくていいわけです。
ゆえに、自分の知識をアップデートしようとする気持ちも欠けていくのではないかと思っています。
変な判決(驕った判決・差別意識に疎い判決)も多いのは、この辺もあるのではないでしょうか。
(外界ともあまり関わらないように言われるようですしね)

また、採用してみたはいいものの能力が足りなかった……ということが発覚した場合でも、
おいそれと辞めさせることはできません。

それほどまでに裁判官に対する保障は「厚い」のです。
減給処分もありません。

任期(10年)が切れたタイミングで整理を行うことはあるようですが、
任期いっぱいは何食わぬ顔で報酬も満額貰いながら勤めることができるわけです。

また、事件を起こしたとしても、
仮に弾劾裁判を受ける前にちょうど任期が切れた場合は「通常の退職扱い」となり、退職金も満額支給です。
(実際、痴漢で逮捕された裁判官がいたのですが、ちょうどこのようなケースでした)

なお、前述の通り裁判官の任期は10年なのですが、ほとんどが再任という形で定年まで勤めるそうです。
(裁判所によって異なるりますが、定年は65歳~70歳です。)

裁判官になった人はいまいちど、「なぜここまで厚い保障があるのか」をよく考え、
そして国民のために裁判に挑んで欲しいものです。

身分が保障されている。
それは司法権の独立を守れる一方で、ある意味競争もしなくていいわけです。ゆえに、自分の知識をアップデートしようとする気持ちも欠けていくのではないかと思っています。変な判決(驕った判決・差別意識に疎い判決)も多いのは、この辺もあるのではないでしょうか。(外界ともあまり関わらないように言われるようですしね)

また、採用してみたはいいものの能力が足りなかった……ということが発覚した場合でも、おいそれと辞めさせることはできません。

それほどまでに裁判官に対する保障は「厚い」のです。減給処分もありません。

任期(10年)が切れたタイミングで整理を行うことはあるようですが、任期いっぱいは何食わぬ顔で報酬も満額貰いながら勤めることができるわけです。

また、事件を起こしたとしても、仮に弾劾裁判を受ける前にちょうど任期が切れた場合は「通常の退職扱い」となり、退職金も満額支給です。(実際、痴漢で逮捕された裁判官がいたのですが、ちょうどこのようなケースでした)

なお、前述の通り裁判官の任期は10年なのですが、ほとんどが再任という形で定年まで勤めるそうです。(裁判所によって異なるりますが、定年は65歳~70歳です。)

裁判官になった人はいまいちど、「なぜここまで厚い保障があるのか」をよく考え、そして国民のために裁判に挑んで欲しいものです。

この第78条とも繋がりの深い条文は以下の通りです。
(リンクの文章は記事のタイトルではなく、関連がわかるような紹介文にしています)
興味のあるところを是非。

この第78条とも繋がりの深い条文は以下の通りです。(リンクの文章は記事のタイトルではなく、関連がわかるような紹介文にしています)
興味のあるところを是非。

最後まで読んでくださってありがとうございました!

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