【日本国憲法第79条の解説】最高裁判所の構成及び裁判官任命の国民審査

日本国憲法第79条では、最高裁判所と裁判官の決め方について規定されています。
では具体的に見ていきましょう。

目次

条文:第79条【最高裁判所の構成及び裁判官任命の国民審査】

最高裁判所は、その長たる裁判官及び法律の定める員数のその他の裁判官でこれを構成し、その長たる裁判官以外の裁判官は、内閣でこれを任命する。


最高裁判所の裁判官の任命は、その任命後初めて行はれる衆議院議員総選挙の際国民の審査に付し、その後十年を経過した後初めて行はれる衆議院議員総選挙の際更に審査に付し、その後も同様とする。


前項の場合において、投票者の多数が裁判官の罷免を可とするときは、その裁判官は、罷免される。


審査に関する事項は、法律でこれを定める。


最高裁判所の裁判官は、法律の定める年齢に達した時に退官する。


最高裁判所の裁判官は、すべて定期に相当額の報酬を受ける。この報酬は、在任中、これを減額することができない。

第79条の解説

最高裁判所は、長官とその他の裁判官(最高裁判所判事)で構成する。裁判官の人数については、別の法律(裁判所法)にて定める。長官以外の裁判官は、内閣が任命する。


最高裁判所の裁判官の任命したら、そのあとに行われる衆議院議員総選挙の時に一緒に行われる国民審査にて、国民の審判を受ける。そのあとも10年毎に国民審査にて国民の審判を受ける。


国民の審査の結果、辞めさせるべきだという声が多かった裁判官は、辞めさせられる。


国民審査の方法は別の法律(最高裁判所裁判官国民審査法)にて定める。


最高裁判所の裁判官は、法律で定めた年齢(70歳)で定年退職する。


最高裁判所の裁判官は、定期的にそれなりの報酬をもらえる。この報酬は任期中に減額されることはない。

■要点①:最高裁判所の構成人数・任命について

構成人数

最高裁判所のトップの事を「長官」と言います。
その他の、最高裁判所に属する裁判官のことは「最高裁判所判事」です。

最高裁判所は、

  • 長官……1名
  • 判事……14名

の、合計15名にて構成されています。
判決によっては多数決で結論を出すこともあるため、奇数となりました。

任命について

なお、どのような人を任命すべきかというのは、裁判所法第41条にて定められています。(後日解説します)

■要点②:国民審査について

国民審査のやり方は「最高裁判所裁判官国民審査法」にて定められています。
こちら「裁判官にふさわしくない」と思った裁判官の名前の上に「×」を書くという仕組みです。

逆に言えば、「空欄で出す=問題なし、続行してもらっていい」ということなのです。

この方法だと、どの裁判官がどんな判決を出してきたのかを積極的に調べている人でもない限り、殆どの人は空欄で投票するのではないでしょうか。

なので、実際にこの国民審査において罷免された裁判官は過去に一人もいないようです。

■要点③:最高裁判所裁判官の定年や報酬について

最高裁判所裁判官の定年は70歳と、裁判法にて定められています。

そして報酬ですが、2021年現在においては以下の通りです。

  • 長官……201万円(月額)
  • 判事……146万6千円(月額)

※ここでは最高裁判所のみを紹介しています。

この報酬については、権力や賄賂等に飲まれることのないよう、高額・在任中の減額無しとしています。

実は、過去に一度だけ減額されたことがあります。
それは、国家公務員の給与引き下げが人事院より勧告された2002年の事でした。
民間の給与との均衡を保つために勧告されたのです。

裁判官も国家公務員です。
ですが、減額すると憲法違反にならないかどうか?ということが問題になりました。
そこで最高裁判所は裁判官会議を開き、

「国会財政上の問題」
「人事院からの勧告」
「国家公務員全員に出された」
「一律に同程度の引下げを行う」

ゆえに「裁判官の職権行使の独立性や三権の均衡を害して司法府の活動に影響を及ぼすことはない」

と判断し、このケースにおいては違憲ではないとして減額することになりました。

自民党による憲法改正草案との比較:草案第79条

最高裁判所は、その長である裁判官及び法律の定める員数のその他の裁判官でこれを構成し、最高裁判所の長である以外の裁判官は、内閣でこれを任命する。


最高裁判所の裁判官の任命は、その任命後、法律の定めるところにより、国民の審査を受けなければならない。


前項の審査において罷免すべきとされた裁判官は、罷免される。


審査に関する事項は、法律でこれを定める。



最高裁判所の裁判官は、法律の定める年齢に達した時に退官する。


最高裁判所の裁判官は、全て定期に相当額の報酬を受ける。この報酬は、在任中、分限又は懲戒による場合及び一般の公務員の例による場合を除き、これを減額することができない。

まとめ

国民審査については、是非ともそのやり方を見直して欲しいものです。
再任させてもいいと思える裁判官に「〇」とつけるやり方にするという風に。

そうすれば国民ももう少し調べるだろうし(そしてメディアももっときちんと報道するようになるでしょう)、裁判官ももっと自分の良心のアップデートをし続けようと思えるのではないでしょうか。

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