【日本国憲法第80条の解説】下級裁判所の裁判官について

日本国憲法第80条

こちらは日本国憲法第80条の解説記事です。

前編・後編の2部構成としています。
基本的には前編だけでも、その条文の伝えたいこと、
自民党提案の改正草案の中身(問題点)がわかるようにしています。
まずは前編でも是非読んでいただけたら嬉しいです。

前編・後編の2部構成としています。
基本的には前編だけでも、その条文の伝えたいこと、自民党提案の改正草案の中身(問題点)がわかるようにしています。
まずは前編でも是非読んでいただけたら嬉しいです。

更に深堀した内容は後編に書いていますので、
興味のある方は最後まで是非。

更に深堀した内容は後編に書いていますので、興味のある方は最後まで是非。

目次

前編:日本国憲法第80条【下級裁判所の裁判官】

意訳

下級裁判所の裁判官を任命するのは内閣である。
ただし、人事権(誰を指名するか)というのは、最高裁判所が決める。
裁判官の任期は10年。再任もできる。ただし、定年を迎えたら退官すること。

2
下級裁判所の裁判官は、定期的にそれなりの報酬をもらえる。
この報酬は任期中に減額されることはない。

原文

下級裁判所の裁判官は、最高裁判所の指名した者の名簿によつて、内閣でこれを任命する。その裁判官は、任期を十年とし、再任されることができる。但し、法律の定める年齢に達した時には退官する。

2
下級裁判所の裁判官は、すべて定期に相当額の報酬を受ける。この報酬は、在任中、これを減額することができない。

この第80条が伝えたいポイント

下級裁判所とは……高等・地方・家庭・簡易の4つの裁判所のこと

これらの裁判所に属する裁判官は、最高裁判所が指名する。(それを受けて、内閣が指名する)
任期は10年間を一区切りとし、再任もある。ただし、定年に達したら退官すること。

報酬についても、定期的にそれなりにもらえるし、減額はない。
これも、司法権の独立性を守るためである。
(賄賂拒否はもちろんのこと、減額をチラつかされて判決を変えるということのないようにということ)

自民党による改正草案について

何をどう変えようとしている?

裁判官の任期の定めを法律に委ねようとしています(現在は憲法にて10年と定められています)

また、報酬も減額有りとしようとしています(現在は、原則減額無し)

問題点は?

裁判官の任期を法律に委ねることで、時の政権に都合よくいかようにも変えやすい可能性が出てきます。
報酬については、減額をチラつかされて判決に影響をきたす可能性があります。
詳しくは第79条に書いていますので、是非。(この記事の最後に改めてリンクを貼ります)

前編はここまでです。後編では更に詳しく解説していますので、興味のある方はよかったら是非!ちなみに、改正草案の原文も後編の方で記載しています。
この第80条と繋がりのある条文記事も是非!記事下にあります➡繋がりのある条文を見る

後編:日本国憲法第80条を更に深堀してみよう

要点:下級裁判所の種類と定年

第79条は最高裁判所について規定されている条文でしたが、こちら第80条は下級裁判所についての規定となります。

下級裁判所においても、裁判官を任命するのは内閣です。
ですが、実際に人事権を握っているのは最高裁判所です。
最高裁判所が選出した名簿を内閣に提出し、それを基に内閣が任命するという流れになっています。

その他、任期が10年であることが憲法にて明確に定められています
そして定年が来るまでは再任も認められています。

下級裁判所の種類と定年
  • 高等裁判所…定年65歳
  • 地方裁判所…定年65歳
  • 家庭裁判所…定年65歳
  • 簡易裁判所…定年70歳

改正草案原文:第80条

※赤文字が変更箇所です

(下級裁判所の裁判官)
下級裁判所の裁判官は、最高裁判所の指名した者の名簿によって、内閣が任命する。その裁判官は、法律の定める任期を限って任命され、再任されることができる。ただし、法律の定める年齢に達した時には、退官する。

2
前条第5項の規定は、下級裁判所の裁判官の報酬について準用する。

改正草案の問題点①:任期の定めを憲法から法律へ

憲法では、下級裁判所裁判官の任期は10年であると明確に定められています。
ですが、改正草案では「法律の定める任期を限って任命され」と、法律で決めるものと変更しようとしています。

このことによって何が起こるのか。
なぜわざわざ法律の方へ移そうとしているのか。
法律に移してしまうことで、何が起こるのか。

憲法はおいそれと変えることはできませんが、法律は憲法に比べたら改正のハードルも低いです。
国会を圧倒的に与党が占めていればなおさら。

つまり、時の政権によって都合のいい任期を定めてしまうことができてしまうということです。

時の政権または与党にとって都合の悪い裁判官を追い出すために、
任期を1年なり3年なり短期にしてしまうことができるわけです。
再任は憲法で認めていますから、最終的に自分たちに都合のいい裁判官を残しやすくなるわけですね。

そうして、舞台が整った頃を見計らって、
今度は逆に「裁判官の身分も保障すべきだと思う」等理由をつけて、
任期を10年20年と長期的にするという法律へまた改正する……

等のように、時の政権にとって都合のいい法律を作ってしまう危険性が生まれてしまいます。

改正草案の問題点②:報酬に減額ありき

「前条第5項の規定は、下級裁判所の裁判官の報酬について準用する。」とあります。

こちらについては、前条第79条にて書いてますので、
もしまだでしたら是非合わせてお読みください。
下記のリンクは第79条記事の中の該当箇所に直接飛びます。

第79条:報酬に減額ありきとすることの問題点

後記

下級裁判所も、任期10年・再任有り、報酬の減額無しです。
ちなみに、国民審査はありませんが、弾劾裁判によって罷免されることはあります。

この第80条とも繋がりの深い条文は以下の通りです。
(リンクの文章は記事のタイトルではなく、関連がわかるような紹介文にしています)
興味のあるところを是非。

この第80条とも繋がりの深い条文は以下の通りです。(リンクの文章は記事のタイトルではなく、関連がわかるような紹介文にしています)
興味のあるところを是非。

最後まで読んでくださってありがとうございました!

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