こちらは日本国憲法第81条の解説記事です。
この第81条が伝えたいポイントというのは……
具体的にはどういうことなのか?
そして、自民党が推し進めようとしている改憲草案の中身は?
その問題点とは?そういった解説・考察をしています。
ぜひ最後まで読んでもらえたら嬉しいです!
日本国憲法第81条【最高裁判所の法令審査】
意訳
原文
日本国憲法第81条を更に深堀してみよう
要点①:最高裁判所は「違憲審査権」を持っている
違憲審査権、つまり法律等の決まり事が合憲か違憲かを審査する権利のことです。
それは裁判所が持っています。
裁判所にこのような権限を与えた根拠は、以下の3つと言われています。
違憲審査権、つまり法律等の決まり事が合憲か違憲かを審査する権利のことです。それは裁判所が持っています。
裁判所にこのような権限を与えた根拠は、以下の3つと言われています。
- 憲法は日本国における最高法規であるがゆえに、それに違反する”法律”は違憲だと判断されるため
⇒法律を作るのは国会 - 三権分立、つまり国会・内閣・裁判所は全くの対等な関係であるがため
⇒裁判所ならば国会や内閣に忖度せずに判断するはず - 人権を尊重するため
⇒基本的人権が侵害される場合、それを救済するため
- 憲法は日本国における最高法規であるがゆえに、それに違反する”法律”は違憲だと判断されるため⇒法律を作るのは国会
- 三権分立、つまり国会・内閣・裁判所は全くの対等な関係であるがため⇒裁判所ならば国会や内閣に忖度せずに判断するはず
- 人権を尊重するため⇒基本的人権が侵害される場合、それを救済するため
なお、この条文では「最高裁判所が最後の裁判所」と言っているという意味であり、
地方裁判所や高等裁判所等にも違憲審査権はあります。
とはいえ、それでも最終判断はやはり最高裁判所がくだすようですね。
なお、この条文では「最高裁判所が最後の裁判所」と言っているという意味であり、地方裁判所や高等裁判所等にも違憲審査権はあります。とはいえ、それでも最終判断はやはり最高裁判所がくだすようですね。
要点②:日本は「付随的違憲審査制」を採用していると言われている
違憲審査には2種類あります。
- ①付随的違憲審査制……私権保障型
-
具体的な事件が起きた時に初めて、必要な範囲で審査する制度。
その事件の被害者を救済するために、その事件に関わる決まり事が違憲になっていないかを審査する。⇒つまり、事件が起こらない限りは、違憲の法律だろうと一旦作ってしまうことはできる。
違憲だと判断されるまでは有効。 - ②抽象的違憲審査制……憲法保障型
-
具体的な事件が起こらなくとも「とにかくその決まり事は合憲か違憲か」を審査する制度。
⇒作った時に「それは違憲では?」と問われれば、何か事件が起こらなくても審査する。
- ①付随的違憲審査制……私権保障型
-
具体的な事件が起きた時に初めて、必要な範囲で審査する制度。その事件の被害者を救済するために、その事件に関わる決まり事が違憲になっていないかを審査する。
⇒つまり、事件が起こらない限りは、違憲の法律だろうと一旦作ってしまうことはできる。違憲だと判断されるまでは有効。
- ②抽象的違憲審査制……憲法保障型
-
具体的な事件が起こらなくとも「とにかくその決まり事は合憲か違憲か」を審査する制度。
⇒作った時に「それは違憲では?」と問われれば、何か事件が起こらなくても審査する。
日本は①の付随的違憲審査制を採用しています。
例えば共謀罪は違憲なのですが、国会で可決されてしまいました。
ですが、今は違憲かどうかの審査はされていないようです。
弁護士連合会等が廃案を求めて意見書を提出しているにもかかわらず、です。
今後、具体的な事件が起きて「共謀罪として問われた人が出てきた」時に初めて、
「いや、違憲では?」となり、そこでようやく審査されるのだろうと思います。
日本は①の付随的違憲審査制を採用しています。
例えば共謀罪は違憲なのですが、国会で可決されてしまいました。ですが、今は違憲かどうかの審査はされていないようです。
弁護士連合会等が廃案を求めて意見書を提出しているにもかかわらず、です。
今後、具体的な事件が起きて「共謀罪として問われた人が出てきた」時に初めて、「いや、違憲では?」となり、そこでようやく審査されるのだろうと思います。
要点③:実は裁判所は違憲審査には消極的
日本は元々「付随的違憲審査制」を採用しているというのもありますが、
残念ながら、日本の最高裁判所は憲法を軽視しがちとのことです。
憲法より法律を優位に考えてしまうのだとか。
色々調べていたところ、色んな資料の共通事項として挙げられていたのが、
「憲法の専門家が裁判所にいない」ことが一因ではないか、ということでした。
実は、違憲審査をする機関……憲法裁判所というようなそういった類の機関がある国もいくつかあります。
例えばドイツなどの一部のヨーロッパ、そして韓国等。
しかし日本にはありません。
その違いはやはりものすごく大きいのだろうと思います。
また「三権分立」であるにもかかわらず、憲法解釈権は内閣法制局に事実上委ねられてしまっています。
そのため、恣意的なものとなりやすい(内閣法制局による解釈が優先されてしまう)という問題点もあります。
裁判官だからといって、憲法への理解が深いというわけではないのですね。
憲法は実際、国民を縛るものではありません。(参考:憲法第99条)
ですが、国民を縛る法律は、憲法に違反していてはいけません。
それにもかかわらず、裁判所はこの辺りの認識を取り違えて軽視しているのでしょう。
法律が違憲かどうかを審査することもせずに、法律を優先してしまうのかもしれませんね。
まずはその法律が「憲法違反していないか?」をチェックしたうえで、
国民を裁くという流れが本来の裁判の手順なのではないでしょうか。
日本は元々「付随的違憲審査制」を採用しているというのもありますが、残念ながら、日本の最高裁判所は憲法を軽視しがちとのことです。憲法より法律を優位に考えてしまうのだとか。
色々調べていたところ、色んな資料の共通事項として挙げられていたのが、「憲法の専門家が裁判所にいない」ことが一因ではないか、ということでした。
実は、違憲審査をする機関……憲法裁判所というようなそういった類の機関がある国もいくつかあります。例えばドイツなどの一部のヨーロッパ、そして韓国等。しかし日本にはありません。
その違いはやはりものすごく大きいのだろうと思います。
また「三権分立」であるにもかかわらず、憲法解釈権は内閣法制局に事実上委ねられてしまっています。そのため、恣意的なものとなりやすい(内閣法制局による解釈が優先されてしまう)という問題点もあります。
裁判官だからといって、憲法への理解が深いというわけではないのですね。
憲法は実際、国民を縛るものではありません。(参考:憲法第99条)ですが、国民を縛る法律は、憲法に違反していてはいけません。
それにもかかわらず、裁判所はこの辺りの認識を取り違えて軽視しているのでしょう。法律が違憲かどうかを審査することもせずに、法律を優先してしまうのかもしれませんね。
まずはその法律が「憲法違反していないか?」をチェックしたうえで、国民を裁くという流れが本来の裁判の手順なのではないでしょうか。
例えば「選択的夫婦別姓訴訟」において
例えば、「選択的夫婦別姓訴訟」。
最高裁判所は「すべて国民は、個人として尊重される」と憲法第13条に書かれているにも関わらず、
法律を優先して考えてしまった結果、選択的夫婦別姓を認めなかったように。
憲法第98条でも明記しているように、憲法が最高法規であるにもかかわらず、です。
この場合は、法律が違憲(基本的人権を侵害している)とみなす方が正しかったのではないだろうか、
と私も考えています。
例えば、「選択的夫婦別姓訴訟」。
最高裁判所は「すべて国民は、個人として尊重される」と憲法第13条に書かれているにも関わらず、法律を優先して考えてしまった結果、選択的夫婦別姓を認めなかったように。憲法第98条でも明記しているように、憲法が最高法規であるにもかかわらず、です。
この場合は、法律が違憲(基本的人権を侵害している)とみなす方が正しかったのではないだろうか、と私も考えています。
この第81条の改憲草案はどんな内容?
言葉は少し変更が入っていますが、意味そのものには変わりありません。
後記
今の日本は三権分立がほぼ形骸化しているうえに、
憲法の専門家が裁判所にいないということを知ってしまい、悲しい気持ちになってしまいました……。
日本も憲法裁判所のような「違憲審査権の遂行に専念する」機関を設置して。
そして法律が成立した時、もしくはそれ以前に法案が提出された時点で
裁判所が審査するという流れができることを願っています。
そして、本当「三権分立」の確立を。 姑息な政治家を排除するためにも。
今の日本は三権分立がほぼ形骸化しているうえに、憲法の専門家が裁判所にいないということを知ってしまい、悲しい気持ちになってしまいました……。
日本も憲法裁判所のような「違憲審査権の遂行に専念する」機関を設置して。そして法律が成立した時、もしくはそれ以前に法案が提出された時点で裁判所が審査するという流れができることを願っています。
そして、本当「三権分立」の確立を。 姑息な政治家を排除するためにも。
繋がりのある条文
この第81条とも繋がりの深い条文は以下の通りです。
(リンクの文章は記事のタイトルではなく、関連がわかるような紹介文にしています)
興味のあるところを是非。
この第81条とも繋がりの深い条文は以下の通りです。(リンクの文章は記事のタイトルではなく、関連がわかるような紹介文にしています)
興味のあるところを是非。
最後まで読んでくださってありがとうございました!