【憲法第94条の解説】地方公共団体ができることの一つが条例制定

日本国憲法第94条 地方公共団体の権能

こんにちは、ぴくとです。(今後の予定とお願いはこちら

日本国憲法第94条では、地方公共団体に認められている権限について記載されています。

目次

条文:第94条【地方公共団体の権能】

地方公共団体は、その財産を管理し、事務を処理し、及び行政を執行する権能を有し、法律の範囲内で条例を制定することができる。

※権能(けんのう)……法律上、ある事柄について権利を主張し、行使できる能力。ある物事をすることのできる資格。

第94条の解説

第92条(解説はこちら)にて定められている本旨の1つである「団体自治」について記載されている。財産を管理し、事務を処理するだけではなく、行政を執行することもできる。つまり、国に対して、地方自治の独立を認めている(国と地方自治は対等な関係である)
かつ、地方公共団体内における条例を制定することも認めている。

条例というのは、地方自治体の自主立法とも言われています。
具体的に言えば、各都道府県・各市町村の議会においてそれぞれつくる決まり事のことですね。違反した場合の罰則も定めることができます。

この条例の効力が及ぶ範囲は、原則としてその条例を定めた自治体内のみとなっています。ただし、その地域内であれば、住民でなくても効力は及びます。(※たばこポイ捨て禁止条例が定められているA市内において、C市の人がポイ捨てをしたら当然罰せられる、ということです)

ただし、「法律に違反しない条例」であることが制定条件となっています。

この辺りは第92条の解説記事に書いていますが、分かりやすい例を新たに挙げるとすると

例)法律では覚醒剤の所持や使用等を認めていないが、A自治体では条例にて認めるとする

というようなのはNGだということですね。完全な法律違反なので。

難しいのは以下の事項なんですよね。そしてこういったことは裁判にて判断されることが多いようです。内容によってOKが出たり却下されたり。

  1. 法律で特別制限されていないことを条例で制限することはできるのか?
  2. 法律以上に厳しい罰則を科したり、規制を設けたりすることはできるのか?
  3. 憲法において「法律で定めるとする」とされている内容が、法律では具体的には定められていない→これを条例で具体的に定めることはできるのか?

③は基本的に認められるみたいですが、①②はなかなか難しいとのこと。ですが、一概に「NG」と判決されるわけでもありません。地域の特殊性によっては、法律より厳しい条例を設けることが認められるケースもあるようです。(例:公害に関する条例や、観光地における建築条例等)

憲法改正草案との比較:第95条・第96条

■第95条

地方自治体は、その事務を処理する権能を有し、法律の範囲内条例を制定することができる。

■第96条(新設)

地方自治体の経費は、条例の定めるところにより課する地方税その他の自主的な財源を充てることを基本とする。


国は、地方自治体において、前項の自主的な財源だけでは地方自治体の行うべき役務の提供ができないときは、法律の定めるところにより、必要な財政上の措置を講じなければならない。


第83条第2項の規定は、地方自治について準用する。

■改正草案の問題点①

完全に地方自治体から力を奪い取ろうとしてきている改正草案だと言わざるを得ないでしょう。

改正草案における第95条は現憲法の第94条(この記事です)のことなのですが、現憲法においては

その財産を管理し、事務を処理し、及び行政を執行する権能を有し

と書いています。ですが、改正草案からは「財産の管理」「行政を執行」というのを削除してしまっています。かつ、その理由についても述べていません。しれっと奪い取ろうとしているわけです。

■改正草案の問題点②

新設された草案第96条では財源のことに触れています。
そのまま読めば、「基本的には自助でなんとかしろ」「そのために、条例で税率や課税できる内容を決められるようにしていやる」なんですよね。

一応「地方交付税も自主財源にあたるものとする」と言っていますが、国の政策に賛成しないなら~というような脅しに使おうとしている(すでにその面が出てきている)ので、やはりものすごく乱暴な改正草案だと感じます。

■もし改正草案が通ると……

地方自治体において、その地方自治体にいる住民達だけで財源を賄えるようにすべく、例えば地方税の税率があげられたり、それとは別に新たな納税が課せられたりすることが十分に出てくるでしょう。

そうなると、自治体によって格差がものすごく大きくなってきてしまいます。地域の崩壊にもつながりますし、憲法で定められている「すべて国民に保障されているはずの色々な事柄(健康で文化的な生活を営む権利等)」等がなし崩しになってしまいます。

国の責任の完全放棄、というよりも、国に逆らわないような仕組みつくりにしようとしている改正草案、でしょう。

解説のまとめ

地方自治体はもまた独立した自治体であり、国が国民全体にやっているようなことを、地方自治体が住民に対して行うことを認めている(団体自治)
かつ、法律に違反しない範囲で条例を定めることができる。

国と地方自治はあくまでも対等な関係です。
そのうえで、国は「国民」に対しては、国民がどこの地方自治体に属そうとも格差を感じることなく安心して生活できるようにすべきなんですよね。

それを明確に放棄した改正草案にしてはなりません(今のところまともな改正草案が見つかりません)

目次
閉じる