
「憲法」「学問の自由」って聞くと、なんだか難しそうだし、自分には関係ないって思うかもしれないね。
でもね、実はこれ、みんなが自由に勉強できるっていう、とっても大事なルールなんだよ。
というのもね、もし
「この本は読んじゃダメ!」
「この研究はしてはいけません!」
って国が決められる世界だったらどうなると思う?
歴史の授業では、国や権力者にとって都合の悪いことを隠されたりするかもしれない。
その他のいろんな学問でも、新しい発明や発見ができなくなったりするかもしれないよ。
それを防ぐために 憲法にしっかり書かれた約束が、「学問の自由」 なんだ。
そうはいっても、本当にそんな自由って必要なの? もしかして、ちょっとくらい制限があったほうがいいんじゃない?
って思う人もいるかも?
これについて、天使くんと悪魔くんが話してくれているから、是非最後まで読んでいってね!
第23条【学問の自由】
学問の自由は、これを保障する。



悪魔くん、今日は日本国憲法第23条について話そう!
まずはさ、意訳してみてよ



学問は自由でいいぞ!



うーん、ちょっと雑だねぇ。
もうちょっと丁寧に言ってみてよ。



学問の自由はしっかりと守られるべきだ!



とか?



うんうん、いいね!



でもさ、たったこれだけの短い条文で、そんなに深い意味があるのか?



そう思うよね?
でも実は、このたった1文の中に、とっても大事なことが詰まってるんだ。



うーん。
勉強なんて国のために役立つことだけ教えればいいじゃないか。



悪魔くん、それってつまり「国が決めたこと以外の勉強は禁止!
」ってことになるけど、それで本当にいいの?



何が悪い?
余計なことを学ばせると、国の統治が難しくなるだろう?
無駄なことを学ばせるより、みんなで国に貢献できるような知識を学ばせるべきだ!



あぁ、まるで昔の日本みたいな考え方だねぇ……。
実は、昔の憲法、つまり明治憲法の時代には学問の自由なんて保障されていなかったんだよ。
それに、政府に都合の悪い考え方を持つ人は取り締まられていたんだ。



取り締まり?そんなおおげさな…



いいや、大げさじゃないんだよ、これが。
たとえば、昔は「治安維持法」ていう法律があったんだけどね、政府の方針に反対する学問や研究は弾圧されていたんだ。
戦争に都合の悪い研究なんかしたら、逮捕されることもあったんだよ。



な、なんだと……!?
でも、戦争はもう終わっただろ?
今の時代にそんな危険はないんじゃないのか?



そう思うかもしれないね。
でもね、学問の自由っていうのは、一度失われると取り戻すのが大変なんだ。
だからこそ、日本国憲法の第23条に「学問の自由は、これを保障する」ってはっきり書かれているんだよ。



そっか…



でもさ、学問の自由っていっても、具体的に何が自由なんだ?
何でもかんでも研究していい、どんなことでも学んでいってことなのか?



いい質問だね!
憲法が保障している学問の自由には、3つの大事な要素があるんだよ。



①研究の自由
→ 何を研究するかは自由。国家や企業に都合が悪いことだろうと、研究できる。
②発表の自由
→ 研究の結果を自由に発表できる。
国が「これは発表するな!」なんて勝手に決めることは許されない。
③教授の自由
→ 先生たちが何をどう教えるかも基本的には自由。



なるほど……。
でもよ、さっきも言ったけどさ、なんでもかんでも自由にしていいのか?
例えば、戦争に結びつくような危険な研究とかはどうするんだ?



実はね、そこはちゃんと制限があるんだ。
たとえば、核兵器を作るための研究や、人の遺伝子を操作する研究なんかは、倫理的な問題があるから制限されている。
でも、それは「学問の自由」がないという意味じゃなくて、社会全体のルールとして慎重に扱うべきってことさ。



うーむ
なぁなぁ、教授ってか、先生たちが好き勝手に授業したら、学校がめちゃくちゃにならないか?なるだろ?



悪魔くん、いい指摘だね!
実は小学校や中学校、高校の先生には一定の制限があるんだよ。
「教えるべきことはきちんと教えてくださいね」っていうルールがあるからね。
そうしないと、僕たちの知識の土台がばらばらになっちゃうし、先生の勝手な判断で「最低限の知識」が得られなくなるかもしれないからね。



でもね、大学はちょっと違うんだ。
基本的な知識の土台はできたあとだし、大学は学問の中心だから、国家権力が干渉しない「大学の自治」っていう考え方があるんだよ。



大学だけ特別扱いなのか?



そういう意味じゃないよ。
大学は新しい知識を生み出す場だから、政治や企業の影響を受けすぎると、研究が歪んでしまう可能性があるんだ。
だからこそ、学問の自由がしっかり保障されているんだよ。



ふうん。



これさ、改憲されたらどうなるんだ?



「これを保障する」から、「これを」って部分を削除しようとしているんだ。



うん?たったそれだけなら、別に問題ない感じだな。



いやいや。
確かに表現はちょっとした違いだけど、実は憲法って「他の条文とも合わせて読むもの」なんだよ。
この条文だけが独立して、別解釈ですよってことはないんだ。



でね、他の条文では「公益及び公の秩序」っていう言葉を強調し始めていてね。
このことも踏まえて考えると、「国にとって都合の悪い学問は制限しますよ」っていう解釈がされる可能性があるんだ。



むむ……
つまり、また昔みたいに学問が制限される可能性があるってことか……?逆らったら捕まるってことも……?



そういうことさ。
だからこそ、憲法の言葉のひとつひとつが大事なんだ。



ふむ……。
なんか憲法って、思ってたより深いな……。



そうだよ! だからこそ、一緒に考えていこうね!
まとめ
「学問の自由」ってのは要するに、
- 何を学ぶか
- 何を研究するか
- それをどう発表するか
というのを、自由に決められるという大事な権利のことです。
これがなかったら、国や権力を持ってる人の都合で
「この学問は禁止!」
「この歴史は教えません!」
って決められてしまうかもしれないということです。
それって、ちょっと…怖いですよね。
だからこそ、日本国憲法は 「学問の自由は、これを保障する」 という、
シンプルでありながらも強い言葉で、この権利を守っているのですね。
でも、もしこの条文が変えられてしまったら……?
もし、学問の内容に 「国の都合」 が入り込んでしまったら……?



だからこそ、日本国憲法は 「学問の自由は、これを保障する」 という、シンプルでありながらも強い言葉で、この権利を守ってくれているんだね!
この権利も大切にしていかなきゃ!

