【日本国憲法第36条の解説】拷問や残虐な刑罰は「絶対に」禁じられている

日本国憲法第36条

こちらは日本国憲法第36条の解説記事です。

この第36条が伝えたいポイントというのは……

かつては拷問や残虐な刑罰(火あぶり、鞭打ち等)がまかり通っていました。
冤罪も多かった時代です。それにより、多くの国民の幸せが奪われていました。
そのようなことが二度と起こらないよう、そういったことは「絶対に」してはならない、と定められました。

かつては拷問や残虐な刑罰(火あぶり、鞭打ち等)がまかり通っていました。
冤罪も多かった時代です。それにより、多くの国民の幸せが奪われていました。
そのようなことが二度と起こらないよう、
そういったことは「絶対に」してはならない、と定められました。

かつては拷問や残虐な刑罰(火あぶり、鞭打ち等)がまかり通っていました。冤罪も多かった時代です。それにより、多くの国民の幸せが奪われていました。
そのようなことが二度と起こらないよう、そういったことは「絶対に」してはならない、と定められました。

具体的にはどういうことなのか?

そして、自民党が推し進めようとしている改憲草案の中身は?
その問題点とは?そういった解説・考察をしています。

ぜひ最後まで読んでもらえたら嬉しいです!

目次

日本国憲法第36条【拷問及び残虐な刑罰の禁止】

意訳

公務員(役員)は絶対に拷問やむごたらしい罰をくだすようなことは絶対にしてはならない。

公務員(役員)は絶対に拷問やむごたらしい罰をくだすようなことは絶対にしてはならない。

原文

公務員による拷問及び残虐な刑罰は、絶対にこれを禁ずる。

日本国憲法第36条を更に深堀してみよう

要点①:まずはそれぞれの単語を紐解いてみる

短い条文ですが、その意味を知るために、それぞれの単語を紐解いていきます。

公務員

警察官や検察官、政治家や官僚等。

なお、一般人(私人)による拷問や刑罰についても当然認められていません。
一般人に関しては、刑法等の法律によってそのように定められています。
これは「憲法」ですので、権力者側を制するため、
つまり国民を権力から守るためだという意味で設けられています。

拷問

罪を犯したと思われる人から自白を得るために、
鞭打ちや暴力、はたまた脅迫等を行って肉体的・精神的な苦痛を与えること等。

残虐な刑罰

最高裁判所にて
「不必要な精神的、肉体的苦痛を内容とする人道上残酷と認められる刑罰」
と解釈されています。
例えば火あぶりや磔(はりつけ)、さらし首、茹で釜等。

公務員

警察官や検察官、政治家や官僚等。

なお、一般人(私人)による拷問や刑罰についても当然認められていません。一般人に関しては、刑法等の法律によってそのように定められています。これは「憲法」ですので、権力者側を制するため、つまり国民を権力から守るためだという意味で設けられています。

拷問

罪を犯したと思われる人から自白を得るために、鞭打ちや暴力、はたまた脅迫等を行って肉体的・精神的な苦痛を与えること等。

残虐な刑罰

最高裁判所にて「不必要な精神的、肉体的苦痛を内容とする人道上残酷と認められる刑罰」と解釈されています。例えば火あぶりや磔(はりつけ)、さらし首、茹で釜等。

要点②:「絶対に」という強い意志を表示した条文

「絶対に」という言葉が入っているのは、実はこの条文だけです。

それほどまでに、強い意志を表示した条文です。

実は、以前の憲法、つまり明治憲法(大日本帝国憲法)にはこのような条文はありませんでした。
そして、実際、特別高等警察(特高)による拷問や残虐な刑罰が行われていました。

例えば、天皇制や戦争に批判的な思想を抱く人たちを拷問して無理矢理思想を変えさせたり。
自分達の思い通りの答え(自白)が出るまで拷問する、監禁したり。
そのような日常茶飯事でした。

そうして多くの人の人権は蹂躙され、そして命も奪われていきました。

そのような過去の反省からできた条文です。

「絶対に」という言葉が入っているのは、実はこの条文だけです。

それほどまでに、強い意志を表示した条文です。

実は、以前の憲法、つまり明治憲法(大日本帝国憲法)にはこのような条文はありませんでした。そして、実際、特別高等警察(特高)による拷問や残虐な刑罰が行われていました。

例えば、天皇制や戦争に批判的な思想を抱く人たちを拷問して無理矢理思想を変えさせたり。自分達の思い通りの答え(自白)が出るまで拷問する、監禁したり。そのようなことは日常茶飯事でした。そうして多くの人の人権は蹂躙され、そして命も奪われていきました。

そのような過去の反省からできた条文です。

要点③:「死刑」は残虐な刑罰ではないのか?

日本には「死刑」がありますね。
これは残虐な刑罰ではないのか?という論争も当然あります。

これに関しては、日本の死刑は「絞首刑」であるがため、
残虐な刑罰とは言えないとして合憲であるという解釈が最高裁によってなされています。
※1948年の死刑制度合憲判決事件

また、日本国憲法自体が最高刑が死刑であるということも踏まえて制定されたものであるとされています。

とはいえ、世界的には死刑を廃止する国が増えてきていますので、
日本もいずれ見直す時期がやってくるかもしれません。

日本には「死刑」がありますね。これは残虐な刑罰ではないのか?という論争も当然あります。

これに関しては、日本の死刑は「絞首刑」であるがため、残虐な刑罰とは言えないとして合憲であるという解釈が最高裁によってなされています。(※1948年の死刑制度合憲判決事件)

また、日本国憲法自体が最高刑が死刑であるということも踏まえて制定されたものであるとされています。

とはいえ、世界的には死刑を廃止する国が増えてきていますので、日本もいずれ見直す時期がやってくるかもしれません。

この第36条の改憲草案はどんな内容?

自民党はこの第36条をどのように改憲しようとしているのでしょうか。
そして、その問題点とは?
簡単にいうと、以下の通りです。

何をどう変えようとしている?

禁ずるの前にある「絶対に」という言葉を削除しようとしています。

問題点は?

「絶対に」という言葉がなくなることにより、
拷問や残虐な刑罰が認められるケースが出ることが想定されます。

「絶対に」という言葉がなくなることにより、拷問や残虐な刑罰が認められるケースが出ることが想定されます。

改憲草案の原文を紹介します。そして具体的に考察もしてみました

改憲草案原文:第36条

※赤文字が変更箇所です。

(拷問及び残虐な刑罰の禁止)
公務員による拷問及び残虐な刑罰は、絶対に 禁止する。

(拷問及び残虐な刑罰の禁止)
公務員による拷問及び残虐な刑罰は、絶対に 禁止する。

改憲草案の問題点:拷問や残虐な刑罰の許容

「絶対に」という言葉が削除されています。
その理由は述べられていません。
ですが、この言葉をわざわざ削除してきたことにより、
自民党側は拷問や残虐な刑罰を行うことも想定していると考える方が自然でしょう。

どのような時なのか?
想定されるケースは大きく分けて2つあります。

公益及び公の秩序に反した国民に対して

1つ目。
それは「公益及び公の秩序」に反したと思われる人に対して、だと思われます。

事実、現憲法の「公共の福祉」という言葉は全て、
改憲草案では「公益及び公の秩序」に変わっています。
それと同時に、国民の基本的人権にも制限をかけることもできるようになっています。

※このことによる問題は他の条文にて解説しています。
 最後の方にも該当条文へのリンクを貼りますので、読んでいただければ嬉しいです。
 (該当条文:第12条第13条


国の利益、国が求める秩序に反した人たちの思想を弾圧したり罰するためであれば、
そのような拷問や残虐な刑罰を下すことも認めると。

これは、かつての特別高等警察(特高)の復活にほかなりません。

なお、おとなしくしていれば自分には関係ないと思う方もいるかもしれませんが、
こういったことは権力者側のさじ加減次第となることは理解しておくべきです。
「その政策はおかしいのでは?」「それは差別発言では?」というような真っ当な批判でさえも、
対象となりかねないということを。

敵国の兵隊に対して

改憲草案では、日本が戦争しても違憲にならないようにしようとしています。
(むしろ積極的に戦争できる国にしようとしていると思っていた方がいいです)

その際、昔のように捕虜に対して非人道的な拷問、そして残虐な刑罰を与えたとしても、
それさえも合憲扱いとなってしまいます。

そう、彼らを止めるものがないのです。

「絶対に」という言葉が削除されています。その理由は述べられていません。
ですが、この言葉をわざわざ削除してきたことにより、自民党側は拷問や残虐な刑罰を行うことも想定していると考える方が自然でしょう。

どのような時なのか?想定されるケースは大きく分けて2つあります。

公益及び公の秩序に反した国民に対して

1つ目。
それは「公益及び公の秩序」に反したと思われる人に対して、だと思われます。

事実、現憲法の「公共の福祉」という言葉は全て、改憲草案では「公益及び公の秩序」に変わっています。それと同時に、国民の基本的人権にも制限をかけることもできるようになっています。

※このことによる問題は他の条文にて解説しています。最後の方にも該当条文へのリンクを貼りますので、読んでいただければ嬉しいです。(該当条文:第12条第13条


国の利益、国が求める秩序に反した人たちの思想を弾圧したり罰するためであれば、そのような拷問や残虐な刑罰を下すことも認めると。これは、かつての特別高等警察(特高)の復活にほかなりません。

なお、おとなしくしていれば自分には関係ないと思う方もいるかもしれませんが、こういったことは権力者側のさじ加減次第となることは理解しておくべきです。「その政策はおかしいのでは?」「それは差別発言では?」というような真っ当な批判でさえも、対象となりかねないということを。

敵国の兵隊に対して

改憲草案では、日本が戦争しても違憲にならないようにしようとしています。(むしろ積極的に戦争できる国にしようとしていると思っていた方がいいです)

その際、昔のように捕虜に対して非人道的な拷問、そして残虐な刑罰を与えたとしても、それさえも合憲扱いとなってしまいます。

そう、彼らを止めるものがないのです。

現憲法をもう一度読む

公務員による拷問及び残虐な刑罰は、絶対にこれを禁ずる。

後記

かつての反省を踏まえた条文のひとつです。
それほどまでに、過去にはどれだけ残虐なことが行われてきたのか、想像してみてもらえたらと思います。

そういった反省を蔑ろにし、許容できる範囲を作ろうとする改憲草案。
ここでもまた、人権を軽んじていることがよくわかります。

話は変わりますが、死刑制度について。
単純に死刑制度の有無だけではなく、海外のように懲役の年数を加算することも考えるとか、
また、釈放の水準の見直し等も全て合わせての議論になればいいと、そういう風に考えています。

かつての反省を踏まえた条文のひとつです。それほどまでに、過去にはどれだけ残虐なことが行われてきたのか、想像してみてもらえたらと思います。

そういった反省を蔑ろにし、許容できる範囲を作ろうとする改憲草案。ここでもまた、人権を軽んじていることがよくわかります。

話は変わりますが、死刑制度について。単純に死刑制度の有無だけではなく、海外のように懲役の年数を加算することも考えるとか、また、釈放の水準の見直し等も全て合わせての議論になればいいと、そういう風に考えています。

この第36条とも繋がりの深い条文は以下の通りです。
(リンクの文章は記事のタイトルではなく、関連がわかるような紹介文にしています)
興味のあるところを是非。

この第36条とも繋がりの深い条文は以下の通りです。(リンクの文章は記事のタイトルではなく、関連がわかるような紹介文にしています)
興味のあるところを是非。

最後まで読んでくださってありがとうございました!

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