前文を知っていこう
なぁ、最近、現行の憲法がどーのこーのって話をよく聞くんだけどさ、日本国憲法の『前文』って何がそんなに大事なのか、正直よくわからんのよ。
あんなの、ただ長ったらしいだけの理想論じゃないか?
まぁまぁ、悪魔くん。なんか機嫌悪そうだね?
うん、確かに前文は少し長いけど、実はとても大切なことが詰まっているんだよ
簡単に言うと、
『日本国民がどういう社会を目指しているのか』
(目指していくのか?)
を宣言している部分なの。
どういう社会って、具体的にどういうことだよ?
例えばね、前文には
『国民みんなが平和で幸せに暮らせるようにする』
『もう戦争は二度としない』
『みんなが平等で差別のない社会を作る』
って約束が書いてあるんだよ
ふーん、でもそれって綺麗ごとだろ?
『戦争をしない』とか言ってるけど、そんなの相手次第じゃないか
平和主義と戦争放棄の意味
ううん、ただの綺麗ごとなんかじゃないよ
日本国憲法では、政府がもう戦争の被害を国民に与えないっていう強い決意が込められているんだよ。
例えば『政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないようにする』って、ね
戦争を始めるのは、いつでもどこの国でも、やっぱり「政府」だからね
でもさ、それじゃあ日本が攻撃されたらどうするんだ?
やられっぱなしでいいのか?
やられっぱなしでもいいとか、そういう意味ではないんだ。
憲法の前文や第9条では、『攻め込む戦争はしないけど、平和を守る努力はする』という考え方が基本になっているよ。
一応、自衛権はあるしね
なるほど……でも、攻撃されても我慢しろとは書いてないのか。ちょっと見直したな
でも。
それでもね、この前文では「戦争にならないようにしよう」って言ってるってことはわかって欲しいな。
つまり、他の国ともしっかりと「お互いに戦争にならない関係つくりをする努力をし続けよう」ってことじゃないのかな
まぁ……俺も戦争で起こる憎悪は好きじゃないからな……
主権在民とは?国民が決める国のかたち
話は少し変わるけどよ、
主権とか権利とか難しいこと言われても、正直ピンとこない。昔みたいに天皇が全部決めてくれた方がスッキリするんじゃないの?
おやおや、それこそ明治時代の考え方だね。
でもさ、悪魔くん、それだと国民の意見がまるっと無視されてしまうけど、いいの?
そうならないように、今の憲法では、『国の政治を決めるのは国民』って宣言しているんだよ。
これを『主権在民』と言うんだ。
でも国民が何でも決められるなら、めちゃくちゃな意見が通るかもしれないだろ?
またはなにもかも決まらずに、国が迷走するかもしれないじゃないか
だからこそ、選挙で選ばれた代表者に信頼を託す形になっているんだ。
代表者が国民のために政治を行う仕組みになっているのが、今の憲法なんだよ。
だから、ぼくたち国民は、誰を代表にするか、誰なら信頼できるかを真面目に考えて投票しなきゃいけないんだよ
それに、この憲法に違反するようなことはしてはいけないからね
それを理解している国民が、今の日本にどれだけいるんだろうな……
基本的人権の尊重:みんな平等ってどういうこと?
前文、まだまだ続くな
平等とか言うけど、世の中には頑張らない奴も、好きな事しかしない奴もいるじゃないか。そんな奴らにも権利なんて必要なのか?
もちろんだよ。
基本的人権は『生まれながらに持っている権利』だから、誰かが『頑張った』とか『頑張らなかった』とか関係ないよ。
例えば、自由に意見を言える権利や、差別されない権利がこれにあたるよ
それにさ、「なにをもって頑張る」というのかなぁ。
そして、それは誰が決めるの?権力者が、国(政府)が気に入る形の「頑張り」しか認めないとかそんなのでもいいの?
う……
で、でもよ、
国が国民を縛るくらいしないと、まとまりがなくなるんじゃないのか?
そんな考え方がまさに危険なんだ。
国が人権を無視して好き勝手する社会だと、戦争中みたいに自由も何もなくなっちゃうよ。
だから憲法には、『国は国民の基本的人権を守る義務がある』って書かれたのさ
憲法は国の土台、守るべき約束
……なるほど、憲法の前文って理想論ってだけじゃなくて、実際に国を動かす大事な約束なんだな。
でも、ちょっと理想が高すぎる気もするけど?
高い理想だからこそ、日本国民みんなで守り続けようって誓っているんだよ。
『国家の名誉にかけて、この理想を達成する』って前文の最後に書かれているでしょ?
ふむ……理想を追いかけるってのも悪くないな。理想がなきゃ、人間どもなんて堕落して簡単に戦争しだすしな。
天使、お前の話を聞いて少しは憲法の意味がわかってきた気がするぜ
前文の原文はこちら(クリックして開いてください)
【前文】
日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。
そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。
これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。
われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。
日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する国民の構成と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。
われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。
われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免れかれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。
われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。
日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。
まとめ
日本国憲法の前文には、
戦争の惨禍を繰り返さない、
平和で平等な社会を目指す、
という強い決意が込められています。
これを守ることが、私たちの未来のために必要なことだと思います。
天使と悪魔の会話を通じて、少しは伝えられたなら嬉しいです。
二人のやり取りをそばで見ていて、なんだか感慨深い気持ちになったな。天使が説明する憲法の話、最初は難しいと思ったけど、悪魔がどんどん理解していくのを見ていると、ああ、こういう対話こそ大事なんだなって思えたよ。
憲法の前文に書かれていることって、ただの文字じゃなくて、
私たちがどう生きていきたいかを示す道しるべでもあります。
特に、『戦争をしない』『誰もが平等』『国民が主役』。
日本を本当の意味でいい国にしていくためには必要不可欠なものではないでしょうか。
現実は時に厳しくて、理想通りにいかないこともあるかもしれない。でも、理想がなければ、私たちは何を目指して生きればいいのか分からなくなっちゃう。だからこそ、憲法に書かれた高い理想を、みんなで守っていくことが大事なんだって思ったよ