こちらは日本国憲法第37条の解説記事です。
この第37条が伝えたいポイントというのは……
具体的にはどういうことなのか?
そして、自民党が推し進めようとしている改憲草案の中身は?
その問題点とは?そういった解説・考察をしています。
ぜひ最後まで読んでもらえたら嬉しいです!
日本国憲法第37条【刑事被告人の権利】
意訳
原文
日本国憲法第37条を更に深堀してみよう
要点①:「公平な裁判所」とは?
すべて刑事事件においては、被告人は、公平な裁判所の迅速な公開裁判を受ける権利を有する。
ここで言われる「公平な裁判」とはなんでしょうか?
これは
「不公平をきたすおそれのない構成を避けること」
を意味しています。
例えば、裁判官の中に、その事件の被害者がいたらどうなるでしょうか?
または、被告人の家族、もしくは利害関係のある人がいたら?
客観的に被告人に審判を下すのは難しいのでは?と考えざるを得ませんよね。
必要以上に重い罪を科すかもしれない。軽くするかもしれない。
かばって、本当は有罪なのに無罪だとしてしまうかもしれない。
そういったことのないように、というのがこの「公平な裁判」です。
ここで言われる「公平な裁判」とはなんでしょうか?
これは「不公平をきたすおそれのない構成を避けること」を意味しています。
例えば、裁判官の中に、その事件の被害者がいたらどうなるでしょうか?または、被告人の家族、もしくは利害関係のある人がいたら?
客観的に被告人に審判を下すのは難しいのでは?と考えざるを得ませんよね。必要以上に重い罪を科すかもしれない。軽くするかもしれない。かばって、本当は有罪なのに無罪だとしてしまうかもしれない。
そういったことのないように、というのがこの「公平な裁判」です。
要点②:「迅速な公開裁判」とは?
すべて刑事事件においては、被告人は、公平な裁判所の迅速な公開裁判を受ける権利を有する。
「迅速な公開裁判」。
裁判は時間がかかるものでしょ?と思った方もいるとも思います。
ここでいう「迅速な公開裁判」というのは、
不当に遅延しないこと
のことです。
過去に、15年も審理が止まっていた裁判がありました。
この裁判は、最高裁判所にて免訴判決となり、打ち切られました。
なお、「公開」はそのイメージ通り、傍聴が認められている裁判のことです。
「迅速な公開裁判」。
裁判は時間がかかるものでしょ?と思った方もいるとも思います。ここでいう「迅速な公開裁判」というのは、不当に遅延しないことのことです。
過去に、15年も審理が止まっていた裁判がありました。この裁判は、最高裁判所にて免訴判決となり、打ち切られました。
なお、「公開」はそのイメージ通り、傍聴が認められている裁判のことです。
要点③:被告人が証人に質問できるのはなぜ?
被告人は、すべての証人に対して質問をする機会を十分に与えられる。
また、証人が嫌がったとしても、強制的に裁判所に呼ぶことができる。
なおその時の交通費等の経費は公費で負担する。
被告人が証人に対して質問をする機会も与えられると明記されています。
まず、証人が嘘の証言をするとを「偽証罪」という刑罰が科せられるため、
基本的に証人が嘘をつくことはないだろうとされています。
それでもなお、このような条文がある理由としては、
嘘ではないにせよ、記憶違いにより「誤った」証言をしてしまう可能性があるためです。
私たちは基本的に「その瞬間瞬間を、細部にわたって正しく」覚えているわけではありませんよね。
そして、もし事前に誰かに(もしくは警察に)
「これはもしかしたらこうだったのでは?」と言われれば、
「そうだったかもしれない」と、警察に都合のいい記憶にすり替わってしまうこともあります。
もしかしたら、
被告人は「赤い洋服を着ていた」のに、証人は「黒い服を着ていた」というかもしれません。
被告人は「1回しか殴っていない」のに、証人は「数回殴った」というかもしれません。
このような、証人の記憶違いや誘導による誤りがないかどうか、
被告人にも確認してもらう必要があるのです。
それは、この証人の証言が「証拠」となりうるものなのか。
被告人の刑罰を決めるにあたって参考としてもいいものなのか。
そういったことを丁寧に見極めるためにも大切なことだからです。
ですので、これも被告人にとって重要な権利のひとつです。
被告人は、すべての証人に対して質問をする機会を十分に与えられる。また、証人が嫌がったとしても、強制的に裁判所に呼ぶことができる。なおその時の交通費等の経費は公費で負担する。
被告人が証人に対して質問をする機会も与えられると明記されています。
まず、証人が嘘の証言をするとを「偽証罪」という刑罰が科せられるため、基本的に証人が嘘をつくことはないだろうとされています。
それでもなお、このような条文がある理由としては、嘘ではないにせよ、記憶違いにより「誤った」証言をしてしまう可能性があるためです。
私たちは基本的に「その瞬間瞬間を、細部にわたって正しく」覚えているわけではありませんよね。そして、もし事前に誰かに(もしくは警察に)「これはもしかしたらこうだったのでは?」と言われれば、「そうだったかもしれない」と、警察に都合のいい記憶にすり替わってしまうこともあります。
もしかしたら、被告人は「赤い洋服を着ていた」のに、証人は「黒い服を着ていた」というかもしれません。被告人は「1回しか殴っていない」のに、証人は「数回殴った」というかもしれません。
このような、証人の記憶違いや誘導による誤りがないかどうか、被告人にも確認してもらう必要があるのです。それは、この証人の証言が「証拠」となりうるものなのか。被告人の刑罰を決めるにあたって参考としてもいいものなのか。
そういったことを丁寧に見極めるためにも大切なことだからです。ですので、これも被告人にとって重要な権利のひとつです。
要点④:いかなる場合でも弁護人を依頼する権利がある理由
刑事被告人は、いかなる場合にも、資格を有する弁護人を依頼することができる。
被告人が自らこれを依頼することができないときは、国でこれを附する。
「被告人」というのは、検察から起訴されたとはいえ、
まだ「犯罪を本当に犯した人であるかどうかは確定していない」人です。
つまり、まだ「疑わしい段階」に過ぎません。
ですが、被告人のほとんどは「法律の素人」です。
かたや検察官や裁判官は法律のプロです。
素人がプロに勝てるでしょうか?
本当は無罪なのに、あれこれうまいこと誘導され言いくるめられて有罪になってしまったら?
確かに罪は犯したものの、本当は情状酌量の余地があるものだったり、
罪を犯した理由は検察官が述べているものとは全然違うものだったら?
そして、それに対してうまく反論できず、必要以上に重い罪が科せられたら?
このような、闘うための力量の差を埋めるために、
そして言われもない罪を科せれら足りするようなことを避けるために、
被告人には弁護士を依頼する権利があるのです。
刑事被告人は、いかなる場合にも、資格を有する弁護人を依頼することができる。被告人が自らこれを依頼することができないときは、国でこれを附する。
「被告人」というのは、検察から起訴されたとはいえ、まだ「犯罪を本当に犯した人であるかどうかは確定していない」人です。つまり、まだ「疑わしい段階」に過ぎません。
ですが、被告人のほとんどは「法律の素人」です。かたや検察官や裁判官は法律のプロです。
素人がプロに勝てるでしょうか?本当は無罪なのに、あれこれうまいこと誘導され言いくるめられて有罪になってしまったら?
確かに罪は犯したものの、本当は情状酌量の余地があるものだったり、罪を犯した理由は検察官が述べているものとは全然違うものだったら?そして、それに対してうまく反論できず、必要以上に重い罪が科せられたら?
このような、闘うための力量の差を埋めるために、そして言われもない罪を科せれら足りするようなことを避けるために、被告人には弁護士を依頼する権利があるのです。
この第37条の改憲草案はどんな内容?
改憲草案原文:第37条
※赤文字が変更箇所です。
「刑事被告人」を「被告人」としてきました。
こちらは法律用語においては既に以下のように定義されています。
被告人:刑事裁判において、訴えられた(起訴された)人のこと
また、この条文のタイトルは「刑事被告人の権利」のままです
ですので、憲法改正後に法律改正をして「被告人」の意味を変えたり、
国選弁護士を依頼できる人の対象を改悪したりしない限りは、
今までと同様の意味だとみなしてもよいかと思います。
「刑事被告人」を「被告人」としてきました。こちらは法律用語においては既に以下のように定義されています。
被告人:刑事裁判において、訴えられた(起訴された)人のこと
また、この条文のタイトルは「刑事被告人の権利」のままです
ですので、憲法改正後に法律改正をして「被告人」の意味を変えたり、国選弁護士を依頼できる人の対象を改悪したりしない限りは、今までと同様の意味だとみなしてもよいかと思います。
後記
「被告人」は、検察に起訴されたとはいえ、
まだ疑わしい段階であり「有罪確定」した人ではありません。
それでも様々な理由により、長期間拘束をせざるを得ません。
だからこそ、その拘束は本当に正当なものなのか(その起訴は本当に正しいのか)ということも含め、
被告人の人権を守るためにこのような条文が設けられました。
「被告人」は、検察に起訴されたとはいえ、まだ疑わしい段階であり「有罪確定」した人ではありません。それでも様々な理由により、長期間拘束をせざるを得ません。
だからこそ、その拘束は本当に正当なものなのか(その起訴は本当に正しいのか)ということも含め、被告人の人権を守るためにこのような条文が設けられました。
繋がりのある条文
この第37条とも繋がりの深い条文は以下の通りです。
(リンクの文章は記事のタイトルではなく、関連がわかるような紹介文にしています)
興味のあるところを是非。
この第37条とも繋がりの深い条文は以下の通りです。(リンクの文章は記事のタイトルではなく、関連がわかるような紹介文にしています)
興味のあるところを是非。
- 第34条:抑留・拘禁するにしても、必要な条件があります
- 第36条:拷問や残虐な刑罰は「絶対に」禁じられています
- 第38条:自白の強要は禁止されています
- 第40条:無罪なのに抑留・拘禁された場合は、無罪となった裁判後に、国に補償を求められます
最後まで読んでくださってありがとうございました!