こちらは日本国憲法第32条の解説記事です。
この第32条が伝えたいポイントというのは……
具体的にはどういうことなのか?
そして、自民党が推し進めようとしている改憲草案の中身は?
その問題点とは?そういった解説・考察をしています。
ぜひ最後まで読んでもらえたら嬉しいです!
日本国憲法第32条【裁判を受ける権利】
意訳
原文
日本国憲法第32条を更に深堀してみよう
要点:裁判を受ける権利とは?
「裁判を受ける権利」と聞くと、自分が裁判所へ召喚された側だけのようなイメージになると思います。
ですが、この条文で言っているのはそういうことではありません。
大切なポイントは以下の2点です。
- 私たちが何かしら被害を被った時、司法機関に対して救済を求めることができる
- 司法機関以外のところから裁判を受けることはない
司法機関は、あらゆる権力から独立した、公平な機関です。(第76条)
だからこそ、私たちの基本的人権が侵害された時に救済を求めることができます。
また、司法側は、自分たちの恣意的な判断で裁判申し立ての有無を選別することはできません。
※「 裁判を受ける権利 」 の裁判とは、行政・民事・刑事事件のすべての裁判をいいます。
「裁判を受ける権利」と聞くと、自分が裁判所へ召喚された側だけのようなイメージになると思います。ですが、この条文で言っているのはそういうことではありません。大切なポイントは以下の2点です。
- 私たちが何かしら被害を被った時、司法機関に対して救済を求めることができる
- 司法機関以外のところから裁判を受けることはない
司法機関は、あらゆる権力から独立した、公平な機関です。(第76条)だからこそ、私たちの基本的人権が侵害された時に救済を求めることができます。また、司法側は、自分たちの恣意的な判断で裁判申し立ての有無を選別することはできません。
※「 裁判を受ける権利 」 の裁判とは、行政・民事・刑事事件のすべての裁判をいいます。
この第32条の改憲草案はどんな内容?
自民党はこの第32条をどのように改憲しようとしているのでしょうか。
そして、その問題点とは?
簡単にいうと、以下の通りです。
改憲草案の原文を紹介します。そして具体的に考察もしてみました
改憲草案原文:第32条
※赤文字が変更箇所です。
改憲草案の問題点:裁判を行う権利を「奪われる」可能性がある
改憲草案では「奪われない」という言葉を「有する」に変えてきました。
このことにより
「裁判を受ける権利は有るけれど、場合によっては制限されるよ」
ということになってしまいます。
では、どんな時に裁判を受ける権利を奪われたりするのでしょうか。
それは他の改憲草案から、2通りのケースが考えられます。
改憲草案では「奪われない」という言葉を「有する」に変えてきました。
このことにより「裁判を受ける権利は有るけれど、場合によっては制限されるよ」ということになってしまいます。
では、どんな時に裁判を受ける権利を奪われたりするのでしょうか。それは他の改憲草案から、2通りのケースが考えられます。
想定ケース①:公益及び公の秩序に反した場合
改憲草案においては、
公益及び公の秩序に反した場合に、国が国民の基本的人権を制限できるような内容になっています。
→第12条・第13条(※該当記事へのリンクは、この記事の最後にも再掲します)
このことから、公益(主に自民党にとっての利益)に反するような内容の裁判においては
制限される可能性があるという風に読み取っても、穿ち過ぎということはないでしょう。
救済を求めた場合、相手が自民党の人であればそもそも起訴すら認めてもらえないかもしれません。
つまり、例えば国民側が、政府や政治家によって自分たちの様々な権利を不当に侵害されたと訴えても、
それを聞き入れてもらえないかもしれないということです。
それは権力者側に何をされてもそれを止めることはもとより、
自分たちを守ることすらできなくなることに等しいです。
また、裁判側が恣意的に国民の申し立てを拒否できるようになってしまいかねません。
改憲草案においては、公益及び公の秩序に反した場合に、国が国民の基本的人権を制限できるような内容になっています。→第12条・第13条(※該当記事へのリンクは、この記事の最後にも再掲します)
このことから、公益(主に自民党にとっての利益)に反するような内容の裁判においては制限される可能性があるという風に読み取っても、穿ち過ぎということはないでしょう。救済を求めた場合、相手が自民党の人であればそもそも起訴すら認めてもらえないかもしれません。
つまり、例えば国民側が、政府や政治家によって自分たちの様々な権利を不当に侵害されたと訴えても、それを聞き入れてもらえないかもしれないということです。それは権力者側に何をされてもそれを止めることはもとより、自分たちを守ることすらできなくなることに等しいです。
また、裁判側が恣意的に国民の申し立てを拒否できるようになってしまいかねません。
想定ケース②:国防軍の軍法会議が認められてしまう
現在は「誰でも」、つまり自衛隊であろうとも、私たちと同じ流れで司法の裁きを受けます。
実は現憲法では、
あらゆる権力から独立した公正な司法機関においてのみ裁判を開くことが許されています。
それ以外のところで裁判を開くことは認められていないのです。
ですが、改憲してしまえば、それ以外の場所、つまり軍法会議という、
政治権力とも結びついている機関において裁判を受けさせることが可能となってしまいます。
つまり、改憲草案においては「公正な司法機関における裁判を受ける権利を有する」だけであり、
場合によっては別のところで(軍法会議にて)裁判を受けることもありますよ、ということです。
※軍法会議は、改憲草案第9条の新設項目に記載されており、
改憲されれば軍法会議を開くことが可能となります。
このことにより「国防軍に関する」案件と思われた場合に、
国防軍の中に設けられた審判所(裁判所)にて、裁きを受けることとなります。
※国防軍の人だけではなく、その他公務員も対象となっています。
その際、密室裁判や弁護士の有無、はたまた取材拒否、隠ぺい、一方的な断罪……
そう、基本的人権が無視された、かつての軍法会議の復活が待っていることとなります。
それでも、改憲してしまうことにより、全てが合憲となってしまいます。
現在は「誰でも」、つまり自衛隊であろうとも、私たちと同じ流れで司法の裁きを受けます。
実は現憲法では、あらゆる権力から独立した公正な司法機関においてのみ裁判を開くことが許されています。それ以外のところで裁判を開くことは認められていないのです。
ですが、改憲してしまえば、それ以外の場所、つまり軍法会議という、政治権力とも結びついている機関において裁判を受けさせることが可能となってしまいます。
つまり、改憲草案においては「公正な司法機関における裁判を受ける権利を有する」だけであり、場合によっては別のところで(軍法会議にて)裁判を受けることもありますよ、ということです。
※軍法会議は、改憲草案第9条の新設項目に記載されており、改憲されれば軍法会議を開くことが可能となります。
このことにより「国防軍に関する」案件と思われた場合に、国防軍の中に設けられた審判所(裁判所)にて、裁きを受けることとなります。
※国防軍の人だけではなく、その他公務員も対象となっています。
その際、密室裁判や弁護士の有無、はたまた取材拒否、隠ぺい、一方的な断罪……そう、基本的人権が無視された、かつての軍法会議の復活が待っていることとなります。
それでも、改憲してしまうことにより、全てが合憲となってしまいます。
現憲法をもう一度読む
何人も、裁判所において裁判を受ける権利を奪はれない。
後記
誰でもあろうとも、基本的人権を最大に尊重したうえでの裁きを受けることになっています。
それだけではなく、私たちの基本的人権が侵害された時の救済を求めることも許されています。
今の司法機関が本当に公正かどうか。政治権力の影響を受けてないかどうか。
本当に私たちは救済されているのかどうか。
というのは、怪しい話や残念な話もたくさん出てきていますが、
それでも現憲法がある限りは何度でも立ち直ること・この現憲法の基本に戻ることができます。
もし改憲されてしまえば、そういったことも全て失うものだと思っていた方がいいでしょう。
誰でもあろうとも、基本的人権を最大に尊重したうえでの裁きを受けることになっています。それだけではなく、私たちの基本的人権が侵害された時の救済を求めることも許されています。
今の司法機関が本当に公正かどうか。政治権力の影響を受けてないかどうか。本当に私たちは救済されているのかどうか。
というのは、怪しい話や残念な話もたくさん出てきていますが、それでも現憲法がある限りは何度でも立ち直ること・この現憲法の基本に戻ることができます。
もし改憲されてしまえば、そういったことも全て失うものだと思っていた方がいいでしょう。
繋がりのある条文
この第32条とも繋がりの深い条文は以下の通りです。
(リンクの文章は記事のタイトルではなく、関連がわかるような紹介文にしています)
興味のあるところを是非。
この第32条とも繋がりの深い条文は以下の通りです。(リンクの文章は記事のタイトルではなく、関連がわかるような紹介文にしています)
興味のあるところを是非。
- 第12条:改憲されれば、基本的人権が制限されます
- 第13条:改憲されれば、「個人の尊重」はなくなります
- 第76条:司法機関の独立
- 改憲草案における第9条の中身
- 第32条:「自白」だけを証拠としてはならない
最後まで読んでくださってありがとうございました!